日別アーカイブ: 2014年3月3日

『続ける力』

伊藤真『続ける力:仕事・勉強で成功する王道』(幻冬舎新書 2008)を読む。
法律の資格や公務員試験専門の受験塾である伊藤塾を主宰する著者が、勉強を「続ける」ことの意義や方法論について語る。
前半は、受験でよく言われるような暗記の仕方や「全体から部分へ」といった勉強の進め方など、大方大学受験雑誌に書いてあるような内容が多かった。
その中で、モチベーションの維持という内容が面白かった。人間誰しもダイエットや新しい勉強などを始める時がモチベーションの最高潮であり、どんなに頑張っても、その時点から例外なくモチベーションは下がり続けて行くのである。伊藤氏は次のように述べる。

モチベーションの維持とは、正確には、「モチベーションを上げること」というより、「モチベーショの下げ幅をできるだけ小さくとどめること」といえます。

そして、モチベーションの下げ幅を小さくするために、「ゲーム化」や「ちょっと難しいハードル設定」「リセット」や上手なスランプとの付き合い方を指南している。
また、「合格も不合格も等価値」という言葉も心に響いた。
後半は、自らの事務所の運営や自らの憲法観、日本国憲法の定める「個人の尊重」「個人の尊厳」といった点まで話が広がっていく。伊藤真氏の時流にぶれない考え方と生き方がよく理解できた。

『喪服未亡人 四十九日の情事』『性愛婦人 淫夢にまみれて』 

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先週、成人映画専門の上野オークラ劇場で、3本立てのうち、関根和美監督・脚本『喪服未亡人 四十九日の情事』(2013 OP映画)、池島ゆたか監督『性愛婦人 淫夢にまみれて』(2010 OP映画)の2本を観た。
両脇に荷物を置いてガードを固めたので、「妨害」も近づいて来ず、ゆっくりと鑑賞することができた。
『性愛〜』は、ピンク映画界の巨匠として知られる池島監督がメガホンをとっており、2010年に第23回ピンク映画大賞を受賞している。妻が精神的におかしくなってしまったと悩み続けている元高校で地学を教えていた夫が主人公なのだが、実が精神的病に冒されていたのは夫の方であり、歪んだ夫婦愛や不倫と性愛との関係が上手く表現されている。
『喪服未亡人』は途中寝てしまったのだが、いかにもピンク映画的な女優の演技が興味深かった。

意外にもカップルでくる客も多く、饐えたような匂いが充満した映画館という昔のイメージはなくなっていた。他の人とエロスを共有するという体験は、性欲を持った自分自身の肯定にも繋がっていくので、ネット全盛の今、見直されていいものの一つであろう。

『写真のABC』

猪俣重喜『写真のABC:上手な撮影のコツと現像・引伸し』(金園社 1991)を数ページ読む。
元は1980年(もっと古いのか?)刊行の本なので、カラーフィルムの説明から始まり、写真の現像に用いる薬品の種類や方法、引伸機の説明など、カメラの歴史のような本であった。現在でも使えるような視点で読んでいたので、あまりに内容が古すぎてページを繰る手が止まってしまった。