大場満郎『南極大陸単独横断行』(講談社 2001)を読む。
冒険家という肩書きを持つ著者が、1999年に挑戦した南極大陸単独横断の実施までの苦労や、南極の驚異、極限の自然との格闘、そして、装備や支援の人たちとの交流について奔放に語っている。
ブリザートやホワイトアウトなど、言葉自体は知っていても、実感として理解しにくい気象現象について、肌感覚で理解することができた。また、南極大陸が豪州大陸の1.5倍も大きいことや、4000メートル級の山から吹き下ろされ、最大瞬間風速が300メートルの風ともなるカタバ風や、その風の影響で作られるサスツルギ(風紋)に対する恨み辛みが、強い口調で語られている
特に、衛星携帯電話により、東京都で地下鉄に乗り込む支援者と話をしたり、極寒の吹雪の中に閉じ込められながら、行程が遅れた分の資金繰りについて、電話で相談したりと、空と雪しかない南極を冒険しながらもマネージメントに追われる現代社会との対比が面白かった。