息子二人を連れて、春日部イオンで、藤子・F・不二雄原作、八鍬新之介監督『ドラえもん 新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜』(2014 東宝)を観た。
小学校の時以来、30年ぶりに観た。当時は、アマゾンの奥地にある遺跡に近づく冒険ドラマとして鑑賞していた。しかし、やはり時代であろうか、今作では前人未到の大魔境にアプローチして行く冒険の不安や期待よりも、友情や仲間といった人間ドラマの方に重きがおかれていた。
今日が公開初日であったので、子どもたちがたくさん来ており、久しぶりに映画館で笑いの声を聞いた気がする。途中うとうとしてしまったが、真ん中の子は一睡もせずにしかめっ面で観ており、下の子はぐっすり夢の魔境を彷徨っていた。
物語の最後、どこでもドアでいつもの広場に帰ってきて、のび太くんの「僕たち、大人になっても、こんな冒険できるかな?」というつぶやきが印象的であった。
月別アーカイブ: 2014年3月
『泉式文科系必修論文作成術』
泉忠司『泉式文科系必修論文作成術』(夏目書房 2003)を読む。
今月半ばより始まるレポート作成の一助となればという思いで手に取ってみた。ずいぶん長い間本棚に眠っていた本である。
高校時代に愛読した予備校講師による「実況中継シリーズ」の論文編のような内容である。大学の大教室で行われているような、小テストを挟みながらの論文講義がそのまま収録されているような、大学講義に耐えうるしっかりした内容と軽妙な語り口が印象的である。
著者は英文学を専門としており、英語論文で必須となっている「パラグラフ・ライティング」の理論と実践例が、練習問題と会わせて紹介されている。
「パラグラフ・ライティング」とは、「トピック・センテンス」、「サポーティング・センテンス」、「コンクルーディング・センテンス」の3つからなる。最初に「トピック・センテンス」でそのパラグラフのテーマなりポイントを明言し、続く「サポート・センテンス」でトピックの背景の概説やトピックそのものの補足説明や例証を示し、最後に「コンクルーディング・センテンス」で筆者の主張を述べるという形である。一つのパラグラフには一つのトピックという原則があり、別のトピックを述べたい場合は、パラグラフを分ける必要がある。またパラグラフとパラグラフを繋げる場合は、「コンクルーディング・センテンス」に替わって、つなぎ役となる「コネクティング・センテンス」で文章を綴っていく。何やら日本式論文の「序論」「本論」「結論」に似ているが、「パラグラフ・ライティング」は、一つのパラグラフの中で「序論」「本論」「結論」に相当する3つのセンテンスを並べて展開していく。
日本式論文では、旧来の「起承転結」の影響もあり、「結論」は始めに置かず、「序論」「本論」と展開していくことで最後に主張を配置する。しかし、英米式の「パラグラフ・ライティング」では、「本論」「結論」のダイジェストが「序論」にあたる。そして「序論」を肉付けする「本論」、「本論」を振り返りつつ「自分なりの主張」を念押しする「結論」という流れをとる。書く技術以前に、そもそもの発想の転換が求められる。
その他、効果的な情報収集や注釈の入れ方、参考文献の記述の仕方など、論文作成のイロハについて隈無く説明されている。これまで適当に処理していた引用の方法が勉強になった。引用してみたい。
引用文が長い場合と短い場合で、引用の方法は異なる。引用文が短い場合(本文で2行に満たない場合)は本文中に「 」を使って引用し、引用文が長い場合は前後1行の空白行と、縦書きの場合は上下(上だけでもよい)、横書きの場合は左右(左だけでもよい)2〜4文字分の空白を取って引用する。この場合、「 」は不要。
一冊読んだだけで身につくものではないが、これからのレポート作成の時に意識しておきたい。
『原稿用紙10枚を書く力』
齋藤孝『原稿用紙10枚を書く力』(大和書房 2004)を読む。
先日、創価大学から履修の案内が送られてきた。4月より12月までにレポートを24本、5月から来年1月までに10科目の試験を受けていくことになる。そこで、24本のレポートがなるべくスムーズに書けるようなヒントがないかと手に取ってみた。
齋藤氏は、「書く力」について、考える力と構築力、文体の3つの視点から、文章を書く前段階の準備、文章の構成や展開、そして対象や立ち位置などの文章の生命力について分かりやすく解説をしている。筆者は「3」という数字にこだわり、文章を構築する際に、性格の違う3つコンセプトをつくり、その3つを繋げる論理を組み立てていくと、自ずとオリジナリティのある形にまとまると述べる。
読書感想文の作成を通した文章力の向上について次のように述べる。
(3色ボールペンなどを活用して)おもしろい部分を選び、それをグループ分けする訓練ができる。次に必要なのはそこから三カ所を選び出すことだ。自分のアンテナにひっかかりを感じた部分をはっきりさせる。それにベスト3、ワースト3までの順位をつけてみる。
私が子どもたちの作文指導をするときには、その本の中で自分が何かしらひっかかった部分を、必ず三カ所はあげるように指示する。その三カ所は一文とは限らず、三〜四行のかたまりでも一段落でもいい。
三カ所を選択させたら、それぞれの部分について、言いたいこと(コメント)をまとめさせる。次に、順番を考えさせる。ひっかかった部分の三カ所を組み合わせることで、読んだ人がその本を通じて得られた具体的なものが必ず出てくる。
三カ所だからこそ、その本のもっともおもしろい部分、もっともいい部分、いわゆるおいしいところに絞ることができる。三カ所を切り取る練習を徹底することによって、絞り込みのセンスを磨くこともできる。
その三カ所について、自分の捉え方を過不足なく書き、順番も考えて構成することで、その本に対する見方、捉え方が明確に出た感想文ができる。
別に子どもだけではない。大人でも「書く力」を養おうとするなら、読書感想文(あるいは書評といってもいい)を、この方法で自分に課してみることは、書くトレーニングになるはずである。
また、この「書く力」のトレーニングは、言語化されていないモヤモヤした感情をまとめなくてはいけない映画が効果的であると述べる。今年のハードスケジュールを鑑み、好きな映画を材料にして、齋藤先生の教えを実践し文章力向上に努めたい。
『理系アタマのつくり方』
四ッ柳茂樹『理系アタマのつくり方』(サンマーク出版 2008)を読む。
これから勉強を進めて行く上で、効率的な方法はないかと手に取ってみた。
筆者は、仕事を進めていく必要なスキルを「文系アタマ」と「理系アタマ」に分類した上で、「営業力」「プレゼン力」「コミュニケーション能力」を「文系アタマ」だとすると、「理系アタマ」は「論理力」「抽象力」「計算力」「実践力」だと述べる。そしてそれぞれ「論理力」は原因の掘り下げと演繹・帰納的なアプローチ、「抽象力」はルール化とパターン化、「計算力」は目安の設定と判断力、「実践力」は仮説と検証、PDCAサイクルの継続、と項目立てて分かりやすく解説している。
特に目新しい内容があったわけではないが、「理系アタマ」的な発想、展開を大切にしていきたい。
『続ける力』
伊藤真『続ける力:仕事・勉強で成功する王道』(幻冬舎新書 2008)を読む。
法律の資格や公務員試験専門の受験塾である伊藤塾を主宰する著者が、勉強を「続ける」ことの意義や方法論について語る。
前半は、受験でよく言われるような暗記の仕方や「全体から部分へ」といった勉強の進め方など、大方大学受験雑誌に書いてあるような内容が多かった。
その中で、モチベーションの維持という内容が面白かった。人間誰しもダイエットや新しい勉強などを始める時がモチベーションの最高潮であり、どんなに頑張っても、その時点から例外なくモチベーションは下がり続けて行くのである。伊藤氏は次のように述べる。
モチベーションの維持とは、正確には、「モチベーションを上げること」というより、「モチベーショの下げ幅をできるだけ小さくとどめること」といえます。
そして、モチベーションの下げ幅を小さくするために、「ゲーム化」や「ちょっと難しいハードル設定」「リセット」や上手なスランプとの付き合い方を指南している。
また、「合格も不合格も等価値」という言葉も心に響いた。
後半は、自らの事務所の運営や自らの憲法観、日本国憲法の定める「個人の尊重」「個人の尊厳」といった点まで話が広がっていく。伊藤真氏の時流にぶれない考え方と生き方がよく理解できた。