佐藤優『3・11クライシス!』(マガジンハウス 2011)を4分の3程読む。
3・11の報道の検証として手に取ってみた。
元外務官僚の佐藤氏が2011年3月12日から4月8日までの3週間の間にネットや新聞、雑誌に寄稿した文章が時系列順でまとめられている。
しかし、多筆な佐藤氏が短期間にあちこちに書いた文章をただ集めただけなので、ほとんど同じ話が2度3度、4度5度と繰り返され読む気をなくしてしまった。マガジンハウス社サイドの編集(もへったくれもない)の杜撰さが目立つ。いくら緊急出版だからといって、もう少し中身を整えてもらわないと執筆者に失礼であろう。お金をムダにした感でいっぱいである。
月別アーカイブ: 2014年1月
『福島第一原発事故と放射線』
水野倫之・山崎淑行・藤原淳登『緊急解説! 福島第一原発事故と放射線』(NHK出版新書 2011)を読む。
今年の目標である「脱原発」に向けた幅広い学習のスタートとして手に取ってみた。
2011年6月に刊行され、いかにもNHK的な解説の切り口で、原発事故当時の事故報道の中間検証と、放射線の健康への影響、原発のこれまでとこれからがポイントを踏まえたまとめられている。そして「正しく恐れる」ことを訴える。
山崎氏の次のコメントが印象に残った。
どうも今の日本は有志以来の大変動に直面しているらしい。国の基本構成である国民の数が減り、その中心がお年寄りになる。これがなんと世界最速のスピードで進んでいる。それは、当然、経済・社会、暮らしのあり方にも変化をもたらし始めています。今回の震災は,そんな転換点の日本を襲いました。ここからどう復興するかは、元に戻すのではなくて、新しい姿を創りだしていくことが何よりも求められているんです。エネルギーもそうです。
そうした創造性を今の日本の政治はリードできるのか、疑問を持ちます。政局ではなく政策といいますが、どこまでそうなっているのか。政治家を選ぶ仕組み自体がもう時代に合わなくなっているのでは、とも最近考えています。そう考えると、やはり今回の事故は起るべくして起きてしまったのかもしれません。言い方は悪いかもしれませんが、「原発という危険なおもちゃを私たちに扱えるのか?」ということが、今回私たちに突きつけられた問題です。私たち日本人は、原発という代物を扱えるだけの組織マネジメントができていないということだと思うんです。
技術のことでいうと、個別の製品をうまく作るのは得意だけれど、トータルとしてその製品の運用や安全のマネージメントをすることはどうやら苦手ではないかと。原子力についても、今後、核燃料サイクルや、再処理をやっていくとしたら、本当にできるのか。技術がある、だけではだめなのです。
『アルマゲドン2012 マーキュリー・クライシス』
「ホームレス閉め出す」
本日の東京新聞朝刊に、渋谷区の宮下公園での野宿労働者の閉め出しの記事と、その抗議行動についての記事が掲載されていた。2020年の東京五輪に向けて、「キレイでおしゃれで安全」な東京に合わない風景そのものが消される傾向がますます強くなっていくであろう。五輪が決まった年にこのような記事を掲載する東京新聞の良識に期待したい。
写真真ん中の白いタオルを巻いてトラメガを握っている男性は「大将」だろうか。寒い冬であるが体に気をつけて貰いたい。金銭だけの応援でしかないが、近日中に「のじれん」に寄付をしようと思う。
東京都渋谷区の区立宮下公園で昨年末、年越しのため支援団体とともにテント生活をしていたホームレスが、区から強制的に閉め出された。六日、区に抗議に訪れた支援者からは「福祉の窓口が開いていない年末年始、極寒の中に放り出すのは殺人行為に等しい」と怒りの声が上がった。
閉め出されたのは、区内で野宿者を支援する「渋谷越年・越冬闘争実行委員会」のメンバーとホームレス約二十人。十二月二十九日午後八時半ごろ、区職員から公園閉鎖時間の午後十時半までに荷物をまとめて退去するよう命じられ、翌日未明にかけ警察官に囲まれ、荷物を残したまま追い出された。年末で仕事がなく食べ物が確保できない人や、けがで支援が必要な人など五人が集まっていた。
宮下公園は二〇一一年四月から夜間は施錠されて入ることができないため、通常は野宿者がいないが、役所の窓口が閉まった昨年十二月二十八日から、支援のためのテントを設営していた。閉め出し後、区が一月五日まで宮下公園の閉鎖を決めたため、支援者らは近くの区立神宮通公園に拠点を移し、五日まで炊き出しや医療相談を実施。七日間で延べ百五十人、多いときは一晩で三十人が宿泊し、二千食を配布した。
年越しの場所として、宮下公園を選んだのは高架にあり、人目を避けられるため。実行委の楡原民佳(にれはらたみか)さん(49)は「ホームレスの人たちは襲撃や放火の恐怖と戦いながら生活している。神宮通公園は狭いのでテントを張ると一般の人の邪魔になってしまうし、大通りに面していて好奇の目にさらされるので念頭になかった」と話す。 (小形佳奈)
核燃料再処理工場審査申請
本日の東京新聞夕刊に、青森県六ヶ所村に建設中の使用済み核燃料再処理工場の完成に向けて、日本原燃が基準を満たしているかを原子力規制委員会に申請したとの記事が掲載されていた。原燃は、冷却用の消防ポンプや放射性物質を吸着するフィルターなどを配備し、耐震設計上考慮する揺れを450ガルから600ガルに引き上げて、「世界一安全なサイクル施設」と喧伝する。
しかし、地震大国日本でどうして原発稼働ありきの再処理工場建設を押し進めるのかという疑念はどうしても拭えない。
また、原燃のホームページに2013年12月17日付朝日新聞「核燃料サイクルを考える~日本の選択はどうあるべきか」についての反論が掲載されていた。
1.プルトニウムの厳格な管理について
六ヶ所再処理工場では、設計段階や建設段階からIAEA(国際原子力機関)の確認を受け、現在では、国およびIAEAの査察官が24時間体制で常駐して、六ヶ所再処理工場内のプルトニウムが核兵器等へ転用されることがないことを確認していただいています。2.再処理による利用目的のない余剰プルトニウム増加の可能性について
利用目的のない余剰プルトニウムが発生することがないよう、また、準国産エネルギーとして利用するために、今後ともプルサーマルは国と電気事業者が立地地域の皆さまのご理解を賜りながら進めていくものと考えています。
本年3月26日の原子力委員会定例会では、電気事業連合会から発電所再稼働時期の見通し等を踏まえながら再処理工場で新たなプルトニウムの回収が開始されるまでにはプルトニウム利用計画を策定・公表することを報告し、確認されています。したがって、利用目的のないプルトニウムが増加するということにはあたりません。
(以下略)
日本原燃はもっともらしいことを言うが、しかし、「特定秘密保護法」が成立した現在、プルトニウムこそ軍事技術そのものであり、再処理工場で取り出されるプルトニウムの行方について国民は永遠に知ることがないのである。子どもでも分かる笑い話である。