本日、今年度のセンター試験の国語を解いた。
職場でまとめた分析を掲載したい。
1、評論文
昨年は往年の評論家小林秀雄の刀の鐔に関する読みにくい文章であった。今年は江戸時代の士族階級の漢文素養に関する文章であり、これまた話の背景が掴みにくい内容であった。設問自体はオーソドックスであったが、全体の表現や構成に関する問題に時間を取られた生徒が多かった。一方、日本史や倫理を選択している生徒は比較的読みやすかったとの感想を漏らしていた。
「国語」と「社会」はお互いがお互いを土台にしており、不可分な教科である。理系文系・受験科目の有無を問わず、日本史や世界史、政経倫理といった分野の授業を大切にしてもらいたい。
2、小説
岡本かの子の小説「快走」の全文が掲載されており、本文だけで8ページもある読み応えのある内容であった。これまでのように小説の一部が切り取って出題され、リード文にヒントがあるという形ではなくなり、大きく傾向が変わったのでとまどった生徒も多かった。ただし、戦時下における時代背景が読めれば、話のテーマは掴みやすく、問題も平易であった。
ジャンルを問わず、幅広い読書体験が問われる出題であった。ライトノベルや漫画で構わないので、どっぷりと物語の世界に慣れ親しんでいこう。
3、古文
センター試験本試験初の『源氏物語』からの出題であった。教科書や問題集ではほぼ出題されない場面であり、『源氏物語』のあらすじを押さえただけでは話の流れが理解できなかったと思われる。但し、古文単語や文法の基礎知識を試す所謂「問1、問2」は例年通りの傾向であった。「なめし」「らうたし」「きこゆ」「いざ、たまへ」などの「さくらさく」レベルの単語や、助動詞「なり」「す・さす」「き」などの基本文法が分かっていれば20点は取れたはずである。
古典文法に苦手意識を持っているものは多いと思うが、普段の授業で学んでいる古文単語、助詞、助動詞を含んだ短文を丁寧に訳す練習が、好結果につながるということを声を大にして伝えたい。
4、漢文
「荘子」の思想「無用の用」を帰納的に説明する文章なのだが、白文の解釈についての出題が3つもあり、例年以上に難解な出題であった。文章全体の内容を理解できた生徒は少数であったと思う。但し、設問は基本的な漢字や漢文基本語順への当てはめといった傾向は変わらず、読みにくいながらも、再読文字「猶」や二重否定「莫不」の句形の暗記ができていれば、2択まで絞り込めることができた。
センター漢文は暗記科目と割り切り、まずは、句形100、重要漢字100の詰め込みに努めたい。2年生は授業で使っている漢文ノートを大事にしてほしい。