水野倫之・山崎淑行・藤原淳登『緊急解説! 福島第一原発事故と放射線』(NHK出版新書 2011)を読む。
今年の目標である「脱原発」に向けた幅広い学習のスタートとして手に取ってみた。
2011年6月に刊行され、いかにもNHK的な解説の切り口で、原発事故当時の事故報道の中間検証と、放射線の健康への影響、原発のこれまでとこれからがポイントを踏まえたまとめられている。そして「正しく恐れる」ことを訴える。
山崎氏の次のコメントが印象に残った。
どうも今の日本は有志以来の大変動に直面しているらしい。国の基本構成である国民の数が減り、その中心がお年寄りになる。これがなんと世界最速のスピードで進んでいる。それは、当然、経済・社会、暮らしのあり方にも変化をもたらし始めています。今回の震災は,そんな転換点の日本を襲いました。ここからどう復興するかは、元に戻すのではなくて、新しい姿を創りだしていくことが何よりも求められているんです。エネルギーもそうです。
そうした創造性を今の日本の政治はリードできるのか、疑問を持ちます。政局ではなく政策といいますが、どこまでそうなっているのか。政治家を選ぶ仕組み自体がもう時代に合わなくなっているのでは、とも最近考えています。そう考えると、やはり今回の事故は起るべくして起きてしまったのかもしれません。言い方は悪いかもしれませんが、「原発という危険なおもちゃを私たちに扱えるのか?」ということが、今回私たちに突きつけられた問題です。私たち日本人は、原発という代物を扱えるだけの組織マネジメントができていないということだと思うんです。
技術のことでいうと、個別の製品をうまく作るのは得意だけれど、トータルとしてその製品の運用や安全のマネージメントをすることはどうやら苦手ではないかと。原子力についても、今後、核燃料サイクルや、再処理をやっていくとしたら、本当にできるのか。技術がある、だけではだめなのです。