日別アーカイブ: 2013年9月24日

大学案内研究:北里大学

北里大学全体の大学案内(2014年度版)を読む。
北里大学というと、世界的な細菌学者で、近代医学と衛生行政の発展に貢献した北里柴三郎が「創立」した大学というイメージが世間的には流布している。しかし、北里大学が開学したのは北里柴三郎が亡くなって30年後の1962年のことである。まず衛生学部が開設され、翌年から怒濤のように学部開設が続いていく。1964年に薬学部、1966年に畜産学部、1970年医学部、1972年水産学部、1986年看護学部と続き、1994年には衛生学部が改組され理学部と医療衛生学部が開設されている。
現在では、「生命科学の総合大学」を標榜し、生命現象を分子レベルで捉える理学部(物理学科、化学科、生物科学科)と、健やかで快適な生活を目指す薬学部(薬学科、生命創薬科学科)、医学部、看護学部、医療衛生学部(健康科学科、医療検査学科、医療工学科、リバビリテーション学科)、地球環境の保全や生物資源の有効な利用法をさぐる獣医学部(獣医学科、動物資源科学科、生物環境科学科)と海洋生命科学部の7学部が置かれている。他に新潟に北里大学保健衛生専門学校、埼玉県北本市に北里大学看護専門学校が併設されている。
2年次以降の獣医学部は実習施設の整った青森県十和田キャンパスに、2年次以降の薬学部は東京白金キャンパスで学ぶが、それ以外の全学生は1033床の大学病院の位置する相模原キャンパスで学ぶ。「チーム医療」を実地で学ぶ環境が用意されており、医療衛生分野では最高の環境と言っても良い。

別の学部パンフレットが用意されているので、詳細なカリキュラムなどは分からないが、どの学部学科も、充実した実習環境と「一般教養・人間性・学問の基礎→専門分野の基礎知識・専門性の習得→実習→卒業論文・研究・国試対策」という体系だった流れが説明されている。

北里大学は「日本細菌学の父」とも称される北里柴三郎氏を学祖と仰いでいる。北里氏はドイツに留学している時、ペスト菌を発見したり、破傷風菌やコレラの毒素を抽出したものをウサギに注射して、抗毒素を持った血清をヒトに注射することによって予防、治療するという血清療法を発見したりして、第1回ノーベル賞候補にもなっている。その彼が1892年に創立した私立伝染病研究所は、1914年に文科省に移管されることになる。それに抗議した北里氏ら全研究員は共に辞職し、私財を投じて北里研究所を設立することになった。詳細は不明だが、主に結核サナトリウム施設の流れを汲む付属病院を抱え予防治療の研究を細々とやっていたようだ。また、北里氏は福沢諭吉の亡き後、慶応大学に医学部を創設し、初代医学科長に収まっている。そして、1962年に北里柴三郎の名前を借りる形で、研究所と看護系の学校を母体に大学設立に至っている。北里氏自身は他大学である慶応大学医学部創立者であるため、北里大学は「北里柴三郎の学統を受け継ぎ、地球の未来へつなぐ」という意味の取りにくいキャッチコピーを用いながら、医学から生命科学へと守備範囲を広げ、差別化を計っている。

いずれにせよ、北里大学の成功は50年前はド田舎であった相模原郊外にだだっ広いキャンパスを構え、教養部を置いたことであろう。これによって後の学部増設が容易になり、サークル活動の活性化や付属病院との連携もできるようになった。
理事会が適正に運営され、付属病院の利益を学生に還元され、学費がもう少し安くなってくると魅力的な大学となろう。

大学案内研究:高崎商科大学・高崎商科大学短期大学部

高崎商科大学・高崎商科大学短期大学部のパンフレット(2014年度版)を読む。
高崎市にある公立大学の高崎経済大学とかぶってしまうが、全くの別物である。
1988年に開学した高崎商科短期大学が元となり、2001年に4年制の流通情報学部を置く高崎商科大学が開学している。2006年に大学院が開設され、現在では商学部商学科のみの高崎商科大学と現代ビジネス学科を置く高崎商科大学短期大学部が設置されている。

やはり近隣の高崎経済大学を意識しているようで、センター特待制度や、国公立大学との併願が可能な特待生試験が設けられている。都内の早稲田大学や中央大学なども上位の国立大学不合格者の受け皿としてセンター利用試験合格者を増やしている昨今、高商大のこうした制度は戦略としては間違っていないと思う。むしろ高崎経済大学にとってはよい刺激となるであろう。また、空手道部が強化指定を受けている。

4年制の方は入学後に、流通・マーケティング、情報・メディア・eビジネス、経営・経済、会計・金融、観光・ホスピタリティ、地域・国際・キャリアの6つのコースに分かれ、それぞれ専門科目を学んでいく。コース内で選択の余地はないが、他のコースも組み合わせることができるようになっている。

この大学の売りは、公認会計士や税理士試験予備校として有名なTACや会計教育サポート、教員採用試験の合格実績に定評のある東京アカデミーと連携して、学内にWスクール専門の校舎を用意し、割安な料金で受講できるPCDプログラムという体制である。公務員プログラム、会計士・税理士プログラム、教員プログラムに加え、3回の留学でTOEIC800点以上を目指すバイリンガルプログラム、人気企業内定獲得目指すアドバンスキャリアプログラムなどが用意されている。また、成績優秀者は受講料免除などの特待制度が用意され、受講した科目が最大で26単位も卒業要件単位として認められる。また、キャリア支援は充実しており、1年次より全6回の実践SPI講座が設けられ、2011年度で就職希望者130名のうち、124名が就職している。

短大の方は、医療事務・ドクタークラーク、健康・スポーツ・ビューティー、ホテル・観光・ブライダル、経営・会計の4つコースが設けられている。カリキュラムなど見ても中身はないのだが、顔写真入りのきらきらしたおしゃれなレイアウトで、学びや職業のイメージはよく伝わってくる。2011年度で就職希望者111名に対し、就職者106名という実績を出している。

2013年5月現在、収容定員800名に対し在籍は689名であり定員は満たしていないが、キャンパスの位置や歴史を考えれば、十分健闘していると言ってよいだろう。
群馬県内に大学は少ないので、地元の群馬県、埼玉県北部の高校生にとって、高崎経済大学の一番手の受け皿として延命していくのであろう。同じ市内の高崎健康福祉大学との合併ないし連携という形を取れれば、医療系と経済商学系でスケールメリットが出てくると思うのだが。学校法人なので株式会社のM&Aのようにうまくはいかないであろう。

大学案内研究:東京情報大学

東京情報大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
「東京」と名が付いてものの「東京ディズニーランド」と同じで東京にはない。新設の小規模大学かと思っていたが、1988年に設立され、創立26年を迎える募集定員500名の中規模大学である。東京農業大学や付属高校を運営する学校法人東京農業大学が母体となっている。設立された1980年代後半というと、おそらくはバブル景気華やかりし頃で、団塊ジュニア世代を抱える世帯が郊外にどんどん家を構えていった時期である。団塊ジュニア世代が食いつくような学部を用意したのであろう。開学当初は経営学科と情報学科からなる経営情報学部として出発している。その後、1992年に大学院が開設され、情報文化学科や環境情報学科などの改廃があり、現在では、12コース制の総合情報学部総合情報学科の1学部1学科構成となっている。
キャンパスは千葉駅からJR総武線、都賀駅で千葉都市モノレールに乗り換え、千城台駅で降りて、バスで7分という不便な場所にある。千葉駅から25分の直通通学バスが1日8往復運行されている。また、東京駅からも1日に11本も大学正門前を通る高速バスが運行されている。

心理・教育、スポーツマネージメント、起業・商品開発、会計・金融、社会コミュニケーション、CG・Webデザイン、映像・音響、千葉地域構想、地球・自然環境、システム開発、ゲーム・アプリケーション、ネットワーク・セキュリティの12コース編成である。情報とは畑違いのようなコースも設置され、数学や情報、商業などの教職課程も置かれている。500人規模なので、そのスケールを生かした科目の設置が可能なのであろうが、体系的な学びという点では疑問が残る。
なお、世田谷にある東京農業大学の授業も無料で受講できる制度があるが、活用している学生はほとんどいないであろう。

コースの選択については丁寧になっており、1年次の前期は全員共通科目を学び、1年次後期から2年次前期までは12コースを横断的に学び、2年次後期からプレコース選択、3年次よりコースと研究室を決定する仕組みとなっている。少しでも研究室とのミスマッチを防ぐ仕組みが整っている。また3年次後半より、コースを横断するプロジェクト研究も実施されている。

東京農業大学の源流は、明治時代に主要大臣を歴任した榎本武揚が創設した「育英學」にまでさかのぼるそうだ。
東京農業大学や付属高校が黒字なので大した経営努力、授業工夫をしなくても生き残っていけるであろうが、若手の教職員を中心に、もう少し理念や目的を絞って、単体でも黒字になるような将来性を打ち出す必要があるのではないか。

大学案内研究:共愛学園前橋国際大学

共愛学園前橋国際大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
1888年に設立された前橋英和女学校、1945年に開設された共愛学園中学・高等学校が母体となり、1999年4月に開学した新しい大学である。特待生制度や奨学金制度が、これでもかというほど充実している。特待制度では、入学前に英検2級などをとれば、初年度の授業料が全額免除となる資格特待生や入試特待生、小・中学校教職特待生などがある。スポーツ特待生では、水泳、バドミントンに加え、極真空手道が対象となっている。また、入学してからも学業奨励奨学金、コース学業奨励奨学金、共愛ワークスタディ奨学金に加え、時給宇1000円の学内アルバイトのようなキャンパス・インターンシップ、学生プロジェクト支援制度などが設けられている。

国際社会学部国際社会学科のみの単科大学である。英語、国際、情報・経営、心理・人間文化、児童教育の5つのコースが設けられている。児童教育以外のコースは入学後の選択となっている。少人数の利点を生かし、外国語科目、共愛コア(教養)科目、自由選択科目など50単位以上を共通履修とし、コースを問わず「共愛=共生の理念」「グローバル社会に生きるための、グローカルリーダーの素養」の育成を目指している。またネイティブ講師との1対1での英語学修や、社会人と一緒に全て英語で学ぶ授業、さらにアクティブ・ラーニングを全面的に取り入れ、少人数のメリットを最大限に生かしたグローバルキャリアトレーニング科目が副専攻として置かれている。秋田公立の国際教養大学とまではいかないが、そうした英語をベースにした教養教育に特化するという方向性は応援したい。

群馬県にある新設大学ということで、偏見の目で見ていたが、パンフレットを読めば読むほど、大学の確固たる姿勢が伝わってくる内容であった。
受験生は大学の場所や校舎、偏差値だけでなく、カリキュラムの中身で判断してほしいと思う。

手帳遍歴

2013-09-23 23.41.24

最近、新しく購入した手帳を見るたびに、1日1ページをどのように活用しようか、どういった場面でどういった文房具を使用しようか、今年度の手帳との切り替えはどのように行おうか、などいろいろ妄想している。来年の日記について考えるということは、今以上にいい生活が来年待っていることを自分自身に期待することである。
10年ほど前システム手帳を購入したが、2年ほどで使わなくなってしまった。カバーも中身も年度ごとの切り替えがないため、真新しい手帳を前に新年度に対するワクワクする気持ちが沸き起こってくる機会がなくなってしまったからだ。その後、システム手帳にはなかった持ち運びやすさにひかれ、「超」整理手帳を3年ほど使った。しかし、超整理手帳もスケジュールを概観するには適しているが、自由に記入する欄がないことに不便を感じるようになり、年度ごとに市販の手帳を購入することにした。市販手帳もA5サイズ、B6サイズ、バーチカル式やビジネス式など1年ごとに切り替えていった。3〜4年するうちに、今度は記入の方法や場所が制限されてしまうように感じ、昨年末より余白や白紙が多いA5サイズの手帳に落ち着いたところであった。しかし、いざ使ってみると記入する欄が自由が過ぎて、どこにメモしたのか分からなくなってしまう始末である。そのため、1日1ページのほぼ日手帳の購入に至った。