高崎商科大学・高崎商科大学短期大学部のパンフレット(2014年度版)を読む。
高崎市にある公立大学の高崎経済大学とかぶってしまうが、全くの別物である。
1988年に開学した高崎商科短期大学が元となり、2001年に4年制の流通情報学部を置く高崎商科大学が開学している。2006年に大学院が開設され、現在では商学部商学科のみの高崎商科大学と現代ビジネス学科を置く高崎商科大学短期大学部が設置されている。
やはり近隣の高崎経済大学を意識しているようで、センター特待制度や、国公立大学との併願が可能な特待生試験が設けられている。都内の早稲田大学や中央大学なども上位の国立大学不合格者の受け皿としてセンター利用試験合格者を増やしている昨今、高商大のこうした制度は戦略としては間違っていないと思う。むしろ高崎経済大学にとってはよい刺激となるであろう。また、空手道部が強化指定を受けている。
4年制の方は入学後に、流通・マーケティング、情報・メディア・eビジネス、経営・経済、会計・金融、観光・ホスピタリティ、地域・国際・キャリアの6つのコースに分かれ、それぞれ専門科目を学んでいく。コース内で選択の余地はないが、他のコースも組み合わせることができるようになっている。
この大学の売りは、公認会計士や税理士試験予備校として有名なTACや会計教育サポート、教員採用試験の合格実績に定評のある東京アカデミーと連携して、学内にWスクール専門の校舎を用意し、割安な料金で受講できるPCDプログラムという体制である。公務員プログラム、会計士・税理士プログラム、教員プログラムに加え、3回の留学でTOEIC800点以上を目指すバイリンガルプログラム、人気企業内定獲得目指すアドバンスキャリアプログラムなどが用意されている。また、成績優秀者は受講料免除などの特待制度が用意され、受講した科目が最大で26単位も卒業要件単位として認められる。また、キャリア支援は充実しており、1年次より全6回の実践SPI講座が設けられ、2011年度で就職希望者130名のうち、124名が就職している。
短大の方は、医療事務・ドクタークラーク、健康・スポーツ・ビューティー、ホテル・観光・ブライダル、経営・会計の4つコースが設けられている。カリキュラムなど見ても中身はないのだが、顔写真入りのきらきらしたおしゃれなレイアウトで、学びや職業のイメージはよく伝わってくる。2011年度で就職希望者111名に対し、就職者106名という実績を出している。
2013年5月現在、収容定員800名に対し在籍は689名であり定員は満たしていないが、キャンパスの位置や歴史を考えれば、十分健闘していると言ってよいだろう。
群馬県内に大学は少ないので、地元の群馬県、埼玉県北部の高校生にとって、高崎経済大学の一番手の受け皿として延命していくのであろう。同じ市内の高崎健康福祉大学との合併ないし連携という形を取れれば、医療系と経済商学系でスケールメリットが出てくると思うのだが。学校法人なので株式会社のM&Aのようにうまくはいかないであろう。