東京情報大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
「東京」と名が付いてものの「東京ディズニーランド」と同じで東京にはない。新設の小規模大学かと思っていたが、1988年に設立され、創立26年を迎える募集定員500名の中規模大学である。東京農業大学や付属高校を運営する学校法人東京農業大学が母体となっている。設立された1980年代後半というと、おそらくはバブル景気華やかりし頃で、団塊ジュニア世代を抱える世帯が郊外にどんどん家を構えていった時期である。団塊ジュニア世代が食いつくような学部を用意したのであろう。開学当初は経営学科と情報学科からなる経営情報学部として出発している。その後、1992年に大学院が開設され、情報文化学科や環境情報学科などの改廃があり、現在では、12コース制の総合情報学部総合情報学科の1学部1学科構成となっている。
キャンパスは千葉駅からJR総武線、都賀駅で千葉都市モノレールに乗り換え、千城台駅で降りて、バスで7分という不便な場所にある。千葉駅から25分の直通通学バスが1日8往復運行されている。また、東京駅からも1日に11本も大学正門前を通る高速バスが運行されている。
心理・教育、スポーツマネージメント、起業・商品開発、会計・金融、社会コミュニケーション、CG・Webデザイン、映像・音響、千葉地域構想、地球・自然環境、システム開発、ゲーム・アプリケーション、ネットワーク・セキュリティの12コース編成である。情報とは畑違いのようなコースも設置され、数学や情報、商業などの教職課程も置かれている。500人規模なので、そのスケールを生かした科目の設置が可能なのであろうが、体系的な学びという点では疑問が残る。
なお、世田谷にある東京農業大学の授業も無料で受講できる制度があるが、活用している学生はほとんどいないであろう。
コースの選択については丁寧になっており、1年次の前期は全員共通科目を学び、1年次後期から2年次前期までは12コースを横断的に学び、2年次後期からプレコース選択、3年次よりコースと研究室を決定する仕組みとなっている。少しでも研究室とのミスマッチを防ぐ仕組みが整っている。また3年次後半より、コースを横断するプロジェクト研究も実施されている。
東京農業大学の源流は、明治時代に主要大臣を歴任した榎本武揚が創設した「育英學」にまでさかのぼるそうだ。
東京農業大学や付属高校が黒字なので大した経営努力、授業工夫をしなくても生き残っていけるであろうが、若手の教職員を中心に、もう少し理念や目的を絞って、単体でも黒字になるような将来性を打ち出す必要があるのではないか。