田園調布学園大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
パンフレットを読むまでは、郊外型Fランク大学の胡散臭さが紛々していた。
田園調布というブランド名を冠するものの、最寄り駅からバスで15分ほどの川崎の外れ、麻生区東百合丘に広がるキャンパス。
元々は英語科と日本語日本文化科を置く短期大学だったのだが、少子化とともに学生が集まらなくなり、女子生徒の関心を集めやすい福祉と保育の4年制大学への転換。
福祉と保育だけなのに4年間で516万円の高額な学費と、それとセットになった最大130万円も減額する奨学制度。
出せば受かるAO入試。
併設の田園調布学園中等部・高等部は実際に田園調布に位置する伝統ある進学校であるが、2012年度の大学への入学者は零。
しかし、パンフレットを読むと、大学側の実直な運営理念が伝わってきた。
在学生だけでなく、全学科において卒業生のインタビューも掲載されており、大学での学びと卒業後の職業が分かりやすく説明されている。また文章もあちこちにマーカーが入っており、ポイントが分かりやすく明示されている。人気ある他大学の推薦入試を受けるときなどに活用できそうな内容である。
1967年に開学した短大を母体とし、2002年に開学した新しい大学である。社会福祉専攻と介護福祉専攻からなる社会福祉学科と心理福祉学科の2学科で構成される人間福祉学部と、子ども未来学部の2学部だけの小規模大学である。
社会福祉専攻では社会福祉士と精神保健福祉士の両方の受験資格を得ることができ、介護福祉専攻では社会福祉士と介護福祉士の両方の受験資格を得られることができる。また、心理福祉学科では社会福祉士の受験資格に加え、中高の公民免許と特別支援学校一種免許の取得が可能となっている。福祉系の学科で複数の国家試験受験資格を得ることのできる大学は決して多くはないと思う。また、あまり意味を感じない教養科目や語学科目は気持ちいいほど削られ、入学時から専門教育に特化している。今後高齢化の進展が加速化していく地域なので、福祉の資格取得に専念させるというカリキュラムは決して間違いではないだろうと思う。
川崎フロンターレと連携した「託児室」の運営したり、いち早く「認定こども園」を開設し学生の実習先としたり、地域の福祉活動への協力体制を構築したりするなど、地に足の着いた活動が紹介されている。また、オーストラリアとニュージーランドへの短期海外研修も業者任せにはせず、地元大学との共同プログラムの実施や、現地の施設や学校への訪問、現地の福祉専攻学生との交流など、大学がきちんと手を入れている。
実際の大学を知ってるわけではないが、パンフレットを読む限り、大学側の学生に対する丁寧な対応ぶりが伺われる。
大学案内マニアが評価するような、プロ向けのパンフレットであると言えるだろうか。