敬愛大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
1966年に千葉県稲毛市に開学した千葉敬愛経済大学を出発点とする。高校卒業者の減少が著しくなり始めた1997年に佐倉市に国際学部国際協力学科を設置し、2007年には、国際学科地域こども教育専攻を設置している。2013年現在では、両学部が稲毛に集約され、経済学科と経営学科からなる経済学部と、国際学科とこども学科からなる国際学部の2学部構成となっている。経営学、英語に加え、小学校教員養成という新興住宅地大学の典型的な展開パターンである。
国道16号沿いのいわゆる郊外の新設大学の例に漏れず、カリキュラム表は掲載されず、学ぶことに対するイメージと就職サポートがパンフレットの中心となっている。「チバイチバン」プロジェクトと名付けられたキャリア教育がページを割いて紹介され、2012年度就職内定率は91%、地元千葉県内就職率58%である。成田空港での研修も実施され、空港関連企業に就職する学生も多い。また、就職が比較的いいためか、2013年現在、定員充足率は両学部とも9割を近くとなっている。
国際学部国際学科では短期から長期にわたる豊富な海外研修プログラムが用意されている。特にフィリピン大学へのインターンシップ留学プログラムが興味深い。
日別アーカイブ: 2013年9月16日
パンフレット研究:横浜商科大学
横浜商科大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
パンフレット冒頭の大学の紹介の宣伝文句がそのまま大学の姿を伝えている。
本学には、巨大な貿易港であると同時に国際的な観光都市でもある「横浜」というロケーションを活かした「商学科」「貿易・観光学科」「経営情報学科」の3学科を設置しています。マーケティングや流通、会計などの基本をしっかりおさえ、貿易、観光やIT関連など高度な専門性を修得できるカリキュラムで構成されています。民間企業や研究所出身の教員を多数登用し、現場感覚を重視した実践的プログラムが充実しています。
ほぼ全入状態のFランクに位置する大学であるが、ゼミでの丁寧な動機漬けや資格取得支援、教室を越えた「まちなかキャンパス」での学びなど、入学してくる学生のレベルに合わせつつも伸ばしていこうとする大学の姿勢がよく伝わってきた。
1941年横浜市鶴見区に設立された横浜第一商業学校(現:横浜商科大学高等学校)を母体とし、1968年に2年前に開学した横浜商科短期大学を改組して、貿易、経営、会計情報、商学の4コースを設けた4年制大学が開学している。そして、6年後の1974年に商学科、貿易・観光学科、経営情報学科の3学科制に移行してから、これまで40年間一度も新しい学科やコースを設置していない。いたずらに大学院を設置したり、学部を増やしたりして教育の方向性を見失う大学が多い中、「商学教育の完成」という教育目的を貫く大学の姿勢は評価できる。
ゼミナールを売りとしており、学科紹介の最初のページが全てゼミで費やされている。教員の紹介、学びの中身、学生の姿の3つがよく分かる内容となっている。カリキュラム表もきちんと体系的に整えられて掲載されている。基礎教育も充実しており、中国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語は全て3年次後半までの科目が設けられ、商学を支える科目も幅広く用意されている。また企業のように資格取得奨励金制度があり、大学指定の資格を取得したら5万円から10万円の給付が受けられる。おそらくは通信制高校や進路多様校の卒業生が受験勉強をせずに入ってきているのであろうが、大学の学びのシステムがきちんとしているので、きちんと学べばきちんと伸びていく大学である。
唯一の難点は、就職状況について全く触れられていないことである。「即戦力となる人材の輩出」を打ち出すからには、詳細な就職状況をパンフレットに明示して受験生や保護者の審判を仰ぐべきであろう。学生募集には苦労しているが、地元への就職実績を上げていけば、遠からず受験生は集まってくるはずである。
敬老の日に思う。65歳以上4人に1人
本日の東京新聞朝刊に、「敬老の日」に合わせ総務省が発表した人口推計によると、2013年の65歳以上の高齢者は前年に比べ112万人増の3186万人となり、総人口に占める割合は25.0%に達したとの記事が載っていた。今月15日時点で、70歳以上は総人口の18.2%、75歳以上は12.3%、80歳以上は7.3%である。さらに、国立社会保障・人口問題研究所は、2035年には65歳以上の割合は総人口の3人に1人の割合となると予想している。
老年人口1人に対する15歳から64歳の生産年齢人口の比率は、1960年で11.2人、1980年で7.4人、2000年で3.9人、2020年で2.2人という試算がある。すでに1人の老年人口に対して、3人を割る生産年齢人口比となっている。世代論に根ざした議論は得てして不毛なものである。しかし、団塊世代を中心に今後も際限なく増大していく社会保障費を若者世代が負担するという仕組みは、どうしても不公平感を拭えない。高齢者保護はどこの国の政府にとっても当然の方針であるが、すでに日本では年金制度含め破綻している。しかし破綻しているにも関わらず、選挙が近くなると、高齢者の票目当てに高齢者優遇を打ち出す政党が続出する。安倍自民党に至っては、中身の政策は育児世代や若者冷遇なのに、拝外思想を全面に出すことによりネット上の若者を中心とした右派論調を味方に付ける始末だ。
現在の若者や育児世代が、現在の高齢者と同じ待遇を受けられるような施策を打ち出す政党に期待したいが、これまた高齢化したマスコミに袋だたきにあってしまう。右も左も、国策も防衛も関係なく、とにかく現在の40代以下の社会保障を第一とする議員、政党に期待したい。自分たちの世代の20数年後の「敬老」を期して。