地上波で放映された、飯塚健監督『Summer Nude』(2003 アルゴ・ピクチャーズ)を観た。
いわゆる「群像劇」と呼ばれるジャンルで、石垣島を舞台に「上り坂」のカップルや「下り坂」の夫婦、そして「まさか」の事件が、8月31日の夜に打ち上げられた花火の下で交錯する。
前半は完全なコメディダッチで、アイドル映画や若手芸人映画のように、役者のことをよく知っているファンが見るような内輪向けの内容であった。しかし、後半は監督の若さがにじみ出てきて、低予算ながら一生懸命な作りが伝わってきた。
月別アーカイブ: 2013年12月
「絶叫デモはテロ行為」
本日の東京新聞朝刊一面は、自民党石破幹事長のブログを批判する内容で占められていた。
石橋は11月29日、ブログに「『特定秘密保護法案絶対阻止!』と叫ぶ大音量が鳴り響いています」と書き、その上で「いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう」と指摘した。さらに、「主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべき。単なる絶叫は戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます」としていた。
特定秘密保護法案に反対する東京国立市の市民グループ「秘密保護法案を考えるくにたち市民の会」のメンバーの一人は「9・11の米中枢同時テロ以降、テロというレッテルを貼れば自分が正しい、ということになってしまう。デモをやっている人たちのこともテロという名で束ねるなんて、むちゃくちゃ」と不安を募らせる。
また、市民団体「原発いらない福島の女たち」のメンバーの一人は「自民党のこうした暴挙に対する抗議の声に、さらに暴言を重ねるなんて、国民をばかにしているとしか思えない」と強く反発した。
さらに、東京新聞一面下のコラム「筆洗」では次のように批判の声を掲載している。
「殺人や破壊行為によるテロと「表現の自由」による市民の主張であるデモを同じに扱うのならば、この国に少なく見積もって数十万人単位のテロリストと「本質的に変わらぬ」人がいるということか。石破さんはそんな国の与党の首脳ということになる。
「糞も味噌も一緒」とはこのことで、国会周辺のシュプレヒコールに石破さんも冷静さを失ったのか、国民の声を敵視してしまっている。
ブログを続けてみよう。「己の主張を絶叫し、多くの人々の静寂を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう」。そっくり自民党に言い返せる。その通り、共感は呼ばない
「そっくり自民党に言い返せる」という下りが傑作である。自民党の騒音選挙活動、米軍基地の騒音、騒音だらけの無駄な公共工事などなど、自民党自身の「テロ行為」を棚に上げてよく言い退けたものだ。石破氏は幹事長という立場なのだから、まずは自民党内部から「民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げ」て政策を練り上げてもらいたい。
『グリーン・レクイエム』
新井素子『グリーン・レクエイム』(講談社 1990)を読む。
本日子どもを連れて春日部図書館へ出かけた。案の定、子ども3人が大騒ぎをしでかし、追い立てるように出ようとした出口脇のリサイクルコーナーにあった本である。
1980年に書かれた本であるが、続編と合わせて装丁を変えて出版されたSF小説である。設定が面白くて引き込まれるように一気に読んでしまった。
あとがきが長いが、久石譲作曲の主題曲「Green Requiem」についての逸話が興味深かった。私自身が高校のときに聞いた際のCDの記憶がよみがえってきた。
『「通貨」を知れば世界が読める』
浜矩子『「通貨」を知れば世界が読める:“1ドル50円時代”は何をもたらすのか?』(PHPビジネス新書 2011)を読む。
タイトルはいささか刺激的であるが、大英帝国からパックス・アメリカーナの時代の移り変わりを通貨政策という観点で歴史的に論じた上で、「ユーロ」の難しさ、次の基軸通貨の危うさを指摘した上で、朧げながらも今後のあるべき通貨の未来像を指し示している。かなり踏み込んだ論調で、著者の心意気がよく伝わってきた。
著者は、ベルギーの経済学者ロバート・トリフィンの「基軸通貨は希少性と流動性の両方を満たすことは難しい」という指摘を踏まえ、基軸通貨に頼ろうとすることそのものの危険性を述べる。そして、ドル安を助けるための日銀の量的緩和が生み出した「円・キャリートレード」がアメリカのブラック・マンデーを誤った形で助け、アジアの経済危機をもたらし、現在でも新興国の経済不安の少なくない原因となっていると説明する。最後に国域を越えて流動する単一通貨の問題点を押さえた上で、地球全体の統一通貨、国単位の通貨、そして地域通貨と3種類の通貨が併用される「3D」的な共存時代を唱える。
受験参考書のように説明が分かりやすい上に、主張や批判が研ぎすまされているので、読んでいて楽しかった。


