湯浅赳男『世界五大帝国の興亡と謎』(日本文芸社 1989)を読む。
高校生の頃に買った本で、懐かしく読むことができた。ローマ帝国、中華帝国、ビザンツ帝国、イスラム帝国、大航海時代以降のヨーロッパの帝国主義を取り上げながら、帝国主義的な国家に共通する要素を掘り起こしている。著者独自の視点であろうが、中世ヨーロッパの封建制をゲルマン民族移動の混乱を解決するためのキリスト教帝国主義と位置づけ、人類は常に帝国主義的な安定と民族主義的なアイデンティティをマケドニアやモンゴル帝国、ナポレオン帝国なども含め、帝国主義は例外なく内部矛盾を糊塗するために拡大路線を取る。しかし、一国が国境を越えて大きくなればなるほど、各地の民族主義的な勢力が伸長し、それに乗じて、「多国間協調」という名の下に隣国が包囲網を作り、戦争へと流れていく。分かりきった公式なのだが、オリエントから遡って地域という視点ではなく、帝国の誕生から崩壊という観点で歴史を概観してみると歴史に対する見方が大きく変わってくる。
『世界五大帝国の興亡と謎』
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