浦和のパルコへ、ジェームズ・キャメロン監督『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022 米)を観に行った。IMAXの3Dということで、映像は文句なしに綺麗だった。遊園地のアトラクションのようにアバターの世界に一気に入り込んでいった。途中までは原始地球のような異世界をどっぷりと堪能できた。
しかし、後半から「ナウシカの実写版ではないか」とか「お決まりのハリウッド的展開!」など、心の中でツッコミを入れてしまうような内容だった。せっかく映像が綺麗なのに、星全体のカタストロフィが、一部の登場人物だけのドタバタ劇や書き込みが足りない家族愛のテーマにまとめられてしまい、あっけないラストだった。続編を観たいと思う人は少ないであろう。
3Dの映像を楽しむだけの作品であろう。内容に期待してはいけない。
月別アーカイブ: 2023年1月
「インド人口 今年世界一へ」
本日の東京新聞朝刊に、今年2023年に14億1200万人の人口を抱えるインドが中国を超えるとの記事が掲載されていた。合計特殊出生率が人口を維持するだけの2.1となっており、若年層がインドでは、さらに人口が膨れ上がっていく。一方、中国は、合計特殊出生率は2020年こそ日本と同じ1.3だが、ゼロコロナ対策以降の2021年は世界最低レベルの1.16という報道もある。高齢層が多い中国は今後10数年でグラフの想定以上に人口を減らしていくことであろう。
一人当たりGDPは 2,277ドル(2021年)であり、モディ首相が唱える2047年に先進国の仲間入りという目標は遥かに遠いが、2021年のGDP成長率は8.9%(世界平均は2.3%)となっており、この時代に世界トップレベルの成長カーブを実現している。貿易面でも米国やUAE(アラブ首長国連邦)との関係を深めており、インドの注目度はますます高まっている。
3学期は南アジアの続きから入っていくが、地形や宗教よりも工業や第3次産業に焦点を当てていきたい。
『笑ってケツカッチン』
阿川佐和子『笑ってケツカッチン』(筑摩書房 1988)を読む。
最初はパラパラと読み流そうとしたが、文章に妙な魅力があり、最後までじっくりと読んでしまった。著者の阿川さんは大変聞き上手で、テレビ番組『ビートたけしのTVタックル』の進行役として知られる。そんな阿川さんが雑誌「婦人画報」に連載した家族に関するエッセーを中心に、他の雑誌に寄稿したものがまとめられている。
作家阿川弘之さんの素の姿がよく理解できたし、留守番電話や80年代半ばのお見合い事情、電子レンジなど、日常生活の一コマに著者ならではの感性というスパイスが加えられ、美味しい料理に仕立て上げられたという内容であった。大変貴重な時間となった。
『鉄道諸国物語』
小池滋編『鉄道諸国物語』(彌生書房 1985)を手に取ってみた。
鉄道史研究家として都立大学で長年教鞭を取っていた著者が、鉄道を舞台にした日本国内外の小説をまとめたアンソロジーである。志賀直哉の『網走まで』や芥川龍之介の『みかん』、ディケンズ『信号手』などが収められている。鉄道を舞台にした文学には、鉄道車内のボックス席という極めて狭いパーソナル空間と、鉄道が移動していく距離感や窓から広がる風景などの大きな空間の2つの世界観が共存する不思議な魅力がある。
解説の中で、編者の小池さんは鉄道を題材にした真の文学の名に値するものとして、中野重治の『汽車の罐焚き』を挙げている。私が卒業論文で一番に取り上げたかった作品である。当時の自分は、人間には御しがたい、しかし人間しか動かすことのできない蒸気機関車に着目した中野重治にこの上ない関心を持っていた。自分が評価されたような嬉しい気持ちになった。
「ブラジル ルラ大統領就任」
本日の東京新聞朝刊に、ブラジル新しい顔となった左派のルラ大統領の就任式の模様が報じられていた。経済優先でアマゾンの熱帯雨林の伐採を進め、コロナ対策を事実上放棄したボルソナロ前大統領に代わって、どれほどの力を発揮するのか注目の的である。
ブラジルは面積が851.2万平方キロメートルと日本の22.5倍もあり、人口も2億1400万人と日本の2倍近い。言語はポルトガル語で、カトリックが6割を占める。2021年の経済成長率は4.6%もあり、この成長が前政権の人気を支えていたのであろう。一人当たりGNIは7,518米ドル(2021年)とそこそこの数値となっているが、失業率も10%近くあり格差が広がっているという。
輸出品の大きな割合を占めるのが熱帯雨林下の鉄鉱石である。また、セラードと呼ばれるブラジルの中西部では大豆栽培と、大豆を飼料として牛肉の生産が盛んである。また、中国は大豆の輸入量で世界の6割を占めており、ブラジルで作られた大量の大豆が中国に輸出されている。
鉄鉱石生産量(2020) 1:オーストラリア 2:ブラジル 3:中国 大豆生産量世界ランク(2021) 1:ブラジル 2:米国 3:アルゼンチン 牛肉生産量 1:米国 2:ブラジル 3:中国 4:アルゼンチン |