本日の東京新聞朝刊に、エルサレムでパレスチナ人の若者がユダヤ礼拝所を銃撃したとの記事が掲載されていた。ちょうど地理総合の授業で取り上げたばかりなので、少し解説を加えたい。
授業でも説明した通り、エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3つの宗教の聖地となっており、国際連合はどこの国にも属さない都市だとしている。そのため日本を含む世界のほとんどの国は、イスラエル国内の大使館を地中海に面したテルアビブに置いている。しかし、米国だけは2017年に駐イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移している。つまり、エルサレムこそがイスラエルの首都だというイスラエル政権の主張を認めたことになっている。米国の軍事的支援もあり、イスラエルはかつてないほどの軍事国家となっている。
授業中にも触れたが、イスラエル国家の視点に立てば、テロを行ったパレスチナ青年は加害者で、礼拝所を銃撃されたユダヤ教徒は被害者である。しかし、パレスチナ人の視点から見ると、圧倒的な軍事力をもってパレスチナ人の暮らしそのものを破壊するイスラエルこそ加害者である。地図帳や世界史の知識を生かして、多様な視点を持つことが高校地理には大切である。
また、イスラエルは地中海に面しており、夏は亜熱帯高気圧にすっぽりと覆われるので、6〜8月の降水量は0mm、9月も0.3mmと砂漠並みに降雨がない。地球の動きも合わせて理解しておきたい。