月別アーカイブ: 2022年5月
「日米豪印 対中国念頭 連携確認」
本日の東京新聞夕刊記事に、米国バイデン大統領に加え、オーストラリアの労働党党首で昨日首相に就任したばかりのアルバニージー首相と、インドのモディ首相が揃って日本で会合を行い、「自由で開かれたインド太平洋」実現に向けた連携を確認したとの記事が掲載されていた。昨年度の授業でも触れたが、東シナ海、南シナ海、マラッカ海峡、インド洋という広い範囲で中国の海外進出を牽制する目的で、前トランプ米国大統領が提唱したものである。また、このクアッドを補填する、米英豪の安全保障の枠組み(軍事同盟)「AUKUS(オーカス)」も発足している。
昨日来日したバイデン大統領は、台湾有事での米国の積極的な役割を声高に強調している。また、ラダック地方やブータン東部で中国との国境問題を抱えるインドも参加するなど、東西から中国に圧力をかけようとするバイデン大統領の露骨な外交戦略が垣間見える。地図帳で確認してみてください。台湾、新疆ウイグル自治区、中国・インド・パキスタンの国境未確定地域のカシミール地方を線で繋いでみると、このクアッドの狙いが理解できると思います。
ちなみにモディ首相は、インドのカースト制度で最下層にあたるダリット出身である。そもそも首相職など、2000年以上前のカーストには位置付けられていない職業なので、自動車やICT産業と同じく、誰でも挑戦できるアウトカーストな職業に分類される。
『栽培食物と家畜の起源』
E・アイザック著『栽培食物と家畜の起源』(大明堂 1985)をパラパラと読む。
タイトルにある通り、約35,000年前から14,000年前の後期旧石器時代に始まる栽培化と家畜化に関する考察の専門書である。
ざっくりまとめると、著者は西アジア(近東)に栽培化と家畜化の原点があり、その動機を経済的側面よりも宗教を中心とした文化的側面に求めている。特に家畜は紀元前55000年頃から、牛、馬、豚、羊、ヤギ、ロバ、ラクダに加え、リャマやアルパカ、トリなどであり、人間と家畜の関わりそのものはほとんど変化がない。
最後に著者がいずれクローン技術の発展により、ニンゲンの家畜化が進むと予言しているのが興味深かった。
「原発の攻撃対処『国の検討課題」
本日の東京新聞朝刊に、国内の13道県に立地する原発に対する他国からの武力攻撃への不安についての記事が掲載されていた。
私は日本に原発は不要であり、即時廃炉すべきだと考える。1つ目の理由は地震や津波である。東日本大震災では、マグニチュード9.0の規模の揺れが原因で、格納容器が致命的な損傷を受けている。続く津波で外部電源を失い、炉心を冷やすことができず水蒸気爆発を起こしている。そして今現在も放射能に汚染された水が1日に130トンも排出されている。
2つ目の理由は原発の使用済み核燃料の最終処分地が決まっていないことである。10万年もの間安全に保管すべきゴミの処分先が決まっていないのに、原発の再稼働がおかしいことは小学生でも分かる理屈である。現在青森県六ヶ所村に原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、もう一度原発の燃料とする再処理工場の建設が始まっている。といっても1993年に着工が始まり、1997年には完成予定だったが、2022年の現在も未だ完成の見通しすら立っていない。つい先日26回目の完成延期を決めたばかりである。
3つ目の理由は記事にもある安全保障の点である。日本海を挟んで北朝鮮や中国、ロシアといった国があるにも関わらず、ミサイル1つ被弾しただけで日本国土の半分が汚染される危険な原発を維持する必要があるのかということだ。こちらも日本政府は六ヶ所村と同じ過ちを犯している。1年生の授業で北朝鮮のミサイルについて触れた。領海の外の排他的経済水域内に落ちたので、日本政府は批判をするだけで何もできないという説明をしました。
では北朝鮮のミサイルが日本の領土に落ちると計算された場合、日本はどう動くのでしょうか。日本近海には米国からバカ高い値段で買わされたイージス艦という軍艦が配置されています。イージス艦とは高度なレーダーとミサイル迎撃システムを備えた最強の軍艦ともいわれています。他国からのミサイルが日本の国土に落ちる前にイージス艦から対空ミサイルが発射されることになっている。また、イージス艦がたまたま不在のこともあるので、PAC-3と呼ばれる地上の地対空ミサイルシステムが、日本各地の自衛隊基地に配備されている。
そんなロボットアニメのようなミサイルを撃ち落とすミサイルで、日本の国土や国民、原発が守れるのか、いや守れるはずがない。(反語表現)。。。。
しかし、ウクライナでは、NATOから供給された地対空ミサイルでかなりの数のロシアのミサイルを撃ち落としているとのこと。。。。
採点疲れのため、ここで終了。
「中国、新たなガス田試掘か」
本日の東京新聞朝刊に、日中の排他的経済水域の中間線に隣接する海域で、中国が天然ガスを採掘するための構造物を設置しているとの記事が掲載されていた。授業の復習になるが、排他的経済水域とは海岸線から200海里まで範囲で、航行や上空の飛行は自由に行えるが、域内の海洋の漁業資源や海底の鉱産資源については沿岸国の権益が認められており、他国が自由に利用することができないという国連条約に基づく決まりである。但し200海里(約370km)が隣接国と重複する場合は沿岸からの中間線で範囲が決定される。
記事にある地図と教科書のEEZの地図を見比べれば、韓国と中国との中間線がはっきりとわかると思う。今回の構造物の建設はあまりに露骨である。「日本は認めることができない」と断言した岸田総理がどのような行動に移るのか着目しておきたい。選択肢の1つに加えておくことだ。課題を共有しつつ後世に判断を委ねる「鄧小平路線」を継承したい。