本日の東京新聞夕刊記事に、米国バイデン大統領に加え、オーストラリアの労働党党首で昨日首相に就任したばかりのアルバニージー首相と、インドのモディ首相が揃って日本で会合を行い、「自由で開かれたインド太平洋」実現に向けた連携を確認したとの記事が掲載されていた。昨年度の授業でも触れたが、東シナ海、南シナ海、マラッカ海峡、インド洋という広い範囲で中国の海外進出を牽制する目的で、前トランプ米国大統領が提唱したものである。また、このクアッドを補填する、米英豪の安全保障の枠組み(軍事同盟)「AUKUS(オーカス)」も発足している。
昨日来日したバイデン大統領は、台湾有事での米国の積極的な役割を声高に強調している。また、ラダック地方やブータン東部で中国との国境問題を抱えるインドも参加するなど、東西から中国に圧力をかけようとするバイデン大統領の露骨な外交戦略が垣間見える。地図帳で確認してみてください。台湾、新疆ウイグル自治区、中国・インド・パキスタンの国境未確定地域のカシミール地方を線で繋いでみると、このクアッドの狙いが理解できると思います。
ちなみにモディ首相は、インドのカースト制度で最下層にあたるダリット出身である。そもそも首相職など、2000年以上前のカーストには位置付けられていない職業なので、自動車やICT産業と同じく、誰でも挑戦できるアウトカーストな職業に分類される。