日別アーカイブ: 2022年5月8日

『アークライト 紡績機』

井野川潔『アークライト 紡績機:産業革命から原子力へ』(けやき書房 1984)を読む。
小学生を対象とした、水力紡績機を発明したアークライトの偉人伝のような内容だ。1732年に生まれたアークライトの生い立ちはちょうど、イギリス産業革命の発展と重なっており、インドや糸紡ぎ作業をローラー式にしたジョン・ケイの飛び杼や、複数の紡錘を組み合わせたハーグリーブスの妻の名を冠したジェニー紡績機、飛び杼を足踏み式で機械化したカートライトの力織機などの流れを受けて、アークライトは水力紡績機を発明することになる。クロンプトンのミュール紡績機はアークライトの紡績機のオプションと考えると分かりやすい。

そして時代は、ワットの蒸気機関と結びついて飛躍的に発展していく。アークライトの水力紡績機は職人の手作業の技術を無用のものとした。簡単な整備だけでどんどん布ができていくので、工場で児童が働く光景が一般的なものとなった点も忘れてはならないだろう。

「英領北アイルランド議会選 シン・フェイン第1党へ」

本日の東京新聞朝刊記事より。
北アイルランド議会選挙で、アイルランドとの統一を目指すシン・フェイン党が第1党になったという記事が掲載されていた。私は高校・浪人時代は世界史選択であった。「怒った(1905年)我らのシン・フェイン党」という語呂合わせで、イングランドに抵抗するアイルランド政党の成立年号を口ずさんでいたことを今でも覚えている。

そのシン・フェイン党が北アイルランドで第1党になったということは、United Kingdomの解体が始まったということだ。EU離脱後の経済の混乱に加え、ジョンソン首相に対する批判が重なったようだ。

確認しておくと、私たち日本人がイギリスと呼んでいる国は、United Kingdom of Great Britain and Northern Irelandといい、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国と訳される。グレート・ブリテン島(東側の島)にあり、ロンドンを含むイングランドと西側のウェールズ、北側のスコットランドの3つの国と、アイルランド島の北側の北アイルランドを合わせた4つの連合王国がいわゆるイギリスである。サッカーが好きな生徒は、ワールドカップにイギリスという国は存在せず、それぞれバラバラにトーナメントに出場するのは知っているであろうか。

1922年に北アイルランドを併合して以来、ちょうど100年目の今年、北アイルランドが独立、アイルランドとの統一を目指すという流れ興味深い。ブレグジット(EU離脱)に伴い、スコットランドも独立へと動いており、UK(連合王国)の動向について、授業の中でも触れておきたい。