総理府地震調査研究推進本部地震調査委員会編『日本の地震活動:被害地震から見た地域別の特徴』(財団法人地震予知総合研究振興会地震調査研究センター 1997)をパラパラと眺める。国土地理院や旧帝大の研究者が名を連ねている研究データ集となっている。
図を順番に見ていけば明らかであるが、太平洋プレート年間7cmほど、東日本が乗っかる北米プレートの下に沈みこんでおり、過去の地層や断層の調査から、東日本大震災級の地震規模と津波は十分に予見可能である。小学校低学年の児童でも分かることである。
ところが、事故当時の東京電力の社長は「想定外」の津波の規模であったと、責任逃れの理屈を口にしている。なぜ、政府の機関や国立大学の教授が時間と予算と施設を使って、丹念にデータをまとめているにも関わらず、日本全国に原発をクリーンエネルギーだと吹聴し作ってきたのかということである。目の前の利益に目が眩む政権や企業を嗜めるための科学ではなかったのか。
紙質も良く、立派な装丁の本を作るのではなく、行動する科学者であってほしい。