月別アーカイブ: 2021年8月

「コロナ対策切り札なく 東南アジア苦境」

本日の東京新聞朝刊より。
東南アジアでも、新型コロナウイルスの再拡大による医療の崩壊や経済の停滞と相俟って、政治への不信の声が強まっている。紙面の都合か、ラオスとカンボジアの様子が抜けているが、両国でも感染者数は鰻登りの状況である。

都市封鎖や営業制限などを強化すると、経済界から不満が噴出する。でも、規制緩和すると人流が増え、医療が逼迫するとなると、政府は財政出動しか手がなくなる。税収が限られる中で、何を優先するのか、政策判断が問われる。

「チュニジア 議会停止、首相解任、続く混乱」

本日の東京新聞朝刊に、北アフリカのイスラム教国家、チュニジアの混乱が報じられていた。
チュニジアと言ってもピンとこない人も多いであろう。紀元前にはカルタゴと呼ばれ、ローマとイベリア半島や地中海の覇権を巡って激しい争いを展開した歴史を持つ国である。

記事にある通り、チュニジアでは、2010年から2011年にかけて若者がFacebookやTwitterを活用しながらデモを呼びかけ、独裁政権を追放した「ジャスミン革命」以降、議会民主主義が根付いている。

旧宗主国のフランスや地中海を挟んで隣国のイタリアとの関係が深いが、国の経済を支えている観光(カルタゴの世界遺産など)が頭打ちになり、若者の失業率も高止まりしており、経済の舵を切る政治に対する不満が高まっている。地中海性気候なので、小麦とオリーブの栽培が盛んだが、国内の消費に留まっており、

『トレンディなんてぶっとばせ』

平松茂『トレンディなんてぶっとばせ:自分に恥じない生き方のすすめ』(岩波ジュニア新書 1991)をパラパラと読む。
執筆当時時事通信社で専門学校についての記事を書き、実際に専門学校の教壇にも立っていた著者が、大学や短大に無目的に進む生き方ではなく、専門学校で自分の道を切り拓く若者を取り上げ、返す刀で学歴や肩書のみを重視する日本の世相に斬りかかる。

しかし、専門学校の紹介なのか、敢えてマイナーな生き方を目指す若者への讃歌なのか、コンセプトがはっきりせず、当時流行ったカウンターカルチャーな物言いに留まっている。

「中国 少子化加速に焦り」

本日の東京新聞朝刊に、中国の少子化が急激に進んでいるとの報道が掲載されていた。
授業の中でも、1979年から2014年まで実施され、一組の夫婦につき子供は1人とし、2人目以降産んだ場合は罰金刑などが課せられる「一人っ子政策」について扱った。2014年に廃止以降も出生率は上がらず、昨年の中国の合計特殊出生率は日本を下回る1.30であった。

中国や韓国の少子化の分析や対策は、日本にとって参考になるところが多い。記事の中でも、とりわけ教育費の負担が少子化の要因になっているとのこと。日本では子どもの医療費や高校の授業料の無償化、児童手当などの拡充が進み、急激な出生率の低下は生じていない。ただし、人口の増加にまでは至らず、2008年より10数年連続して人口が減少している。

来年度から現代社会という授業がなくなり、人口問題や少子高齢化、エネルギーや環境などについては、1年生の必修科目である地理総合で扱うこととなる。これまでの地理の授業では、各国の人口や国民総所得などは扱っても、人口減少の要因や解決策について突っ込んで説明したり、話し合ったりすることはなかった。しかし、来年度以降は、東アジアや北欧、アフリカなどの人口政策を比較しながら、日本の少子化について正面から取り上げていかなくてはならない。

人口問題は、記事で中国の国家戦略に絡んでくるように、国家、国民、民族という極めて大きな政治問題である。一方で、一人の人間として恋愛し、結婚し、妊娠するというプライベートな部分に絡んでくるナイーブな側面を持っている。なかなか授業で踏み込むのは難しいなと感じてしまう。