本日の東京新聞朝刊に、ベラルーシの「欧州最後の独裁者」とも称されるルカシェンコ大統領を巡る政治情勢が報じられていた。ルカシェンコ大統領の人物よりも、ベラルーシの国について書いてみたい。
ベラルーシはロシアの西側に位置し、東にポーランド、北にラトヴィア、リトアニア、南にウクライナがある。ちょうどEUに加盟しているバルト三国やポーランドと、西部EU寄りで東部はロシア寄りの玉虫色のウクライナ、そして旧ソ連の頭領であったロシアに挟まれた微妙な場所である。そのため、EUとの緩衝材的な役割を果たすことで、ロシアから政治的・経済的恩恵を受けてきた国である。
輸出品目のトップに、肥料で用いられるカリウムが上位に上がっている。カリウムは窒素やリンに肩を並べる肥料の三大要素である。統計を調べてみると、カナダ、ベラルーシ、ロシア、中国、ドイツの生産上位 5 か国で、世界のカリウム鉱石の生産量の 80%強が占められている。一人当たりのGDPは6,283ドルであり、ブラジルやペルーと同じくらいの中所得国である。一方で、旧ソ連的な管理経済が維持されており、2019年のIMFの調査によると、失業率は先進国を遥かに上回る0.3%となっている。
また、2015年1月には、対外統一市場の形成、域内の人・モノ・サービスの自由を発展させるという、EUと全く同じ狙いの「ユーラシア経済同盟」が発足している。現在加盟国は、ベラルーシ、ロシア、カザフスタン、アルメニア及びキルギスの5か国で少し寂しい顔ぶれである。ベラルーシの視点から、欧州や西アジアの政治経済を見ていくのも面白いであろう。