月別アーカイブ: 2021年6月

「豪、中国をWTO提訴へ」

本日の東京新聞朝刊に、オーストラリアがワインへの制裁関税をめぐって、中国を世界貿易機関に提訴する方針だとの記事が掲載されていた。

問題の背景には、中国包囲網を構築する日米豪印の軍事協定の存在がある。米国バイデン大統領は、トランプ政権の中国外交を引き継ぎ、欧州も巻き込みながら中国への圧力を高めている。一方、中国側も日米豪印の一角であり、中国への依存度が高いオーストラリアを狙い撃ちにしたようである。

2019年の統計データによると、オーストラリアの貿易輸出計4,927億豪ドルのうち、中国が3分の1の34.2%を占めている。オーストラリアの輸出品目は鉄鉱石(19.5%)や石炭(13.0%)、天然ガス(9.9%)などの「一次産品」が半分近くを占めている。コロナの影響で世界的に石炭や天然ガスの需要が落ち込んでいる中で、中国への輸出問題はやがてオーストラリア経済へ甚大な損害を与えることであろう。事はワインだけでない。

 

「難民8240万人 10年で2倍超」

本日の東京新聞夕刊より。
UNHCRの調べで、自国内で居住地を追われた国内避難民を含めて、2020年末に8240万人が難民となったことが分かった。難民の出身国はアサド政権と外国が支援する反政府テロ活動が続くシリアで670万人、反政府武装組織タリバンが居残るアフガニスタンで260万人、主にイスラム教徒が多いスーダンからの分離・独立を果たした世界で1番新しい国の南スーダンで220万人となっている。またロヒンギャへの弾圧が続くミャンマーが続く110万人となっている。また、米国の経済制裁が続く、マドゥーロ大統領による開発独裁国家のベネズエラからの難民が引きも切らない。
こうした現状と問題の背景に切り込む授業を展開したいものだ。

『世界の川を旅する』

野田知佑・藤門弘写真『世界の川を旅する』(世界文化社 2001)をパラパラと読む。
カヌーイストの野田氏が雑誌の連載で、カナダのユーコン川やニュージーランドのランギティキ川を始め、世界中12の川をカヌーで下った模様が綺麗な写真で彩られている。カヌーから見える風景には、その国の偽りのないお国柄が表れている。管理権のはっきりしたヨーロッパから、自然をありのままに残そうとするフィジーまで、その国の国民性を少し垣間見ることができた。
豆知識だが、引用しておきたい。

コスタリカは九州と四国を合わせた広さで、人口は360万人。コーヒーやバナナなどを主生産物とする農業国だ。コロンブスが4回目の航海で1502年に上陸。その時出会った先住民が金の装飾品を着けていたので、リッチコースト(コスタリカ)と名づけた。軍隊を持たない国として知られている。「政治とは教育なり」と(中略)国家予算の3割を教育費に使い(後略)。

『ガラスあれこれ』

HOYA編『ガラスあれこれ』(東洋経済新報社 1986)をパラパラと読む。
眼鏡レンズでは国内トップのHOYA社によるガラス製品に関する入門書である。ウィキペディアによると、HOYA社は創業地の東京都保谷市に由来し、半導体製造用のマスクブランクス、HDD用のガラス基板事業における世界市場占有率はいずれも70パーセントを超えているとのこと。

眼鏡レンズの解説が中心だが、ガラスがなぜ光を通すのかという仕組みから、当時の最新技術である光ファイバーの特徴にも言及している。

『海に何が起こっているか』

関文威、小池勲夫『海に何が起こっているか』(岩波ジュニア新書 1991)を読む。
生物学や地球科学の観点から海に関するあれこれが記されている。
いくつか勉強になったところを記しておきたい。

  • アラビアの紅海は赤色の植物プランクトンが大量に発生する赤潮がよく起こるために赤い海と名付けられている。一方黒潮は流れが強く、植物プランクトンなどの粒子が少ないため、水が澄んでいて黒っぽく見えるために名付けられた。
  • 瀬戸内海は、その名がしめすとおり狭門(せと)、つまりせまい水路に囲まれた湾、灘、瀬戸などの海域がいくつも連なった複雑な地形である。つまり、外洋水との海水交換が悪い閉鎖性海域となっている。そのため、一度汚染物質が放流されると、長く海域に留まるため、一時は「死の海」とも呼ばれた。
  • 地球にやってくる太陽エネルギーのうち、約30%は雲の反射などで直接宇宙空間にへ逃げていくが、残りの約70%のうちの半分以上は海にいったん吸収される。熱は高温側から低音側へ移動するので、低緯度から高緯度に向かって海流の流れが作られる。そして、その途中の南北両半球の10度から20度の海洋上で蒸発量のピークを迎える。
  • オゾンとは酸素分子が3個結合したもので、そのオゾンが地上約30kmの高度を中心に地球をぐるっと取り囲んでいるので、オゾン層と呼ばれる。しかし、取り囲むといっても厚いところでも、空気分子の100万分10程度(10ppm)しかない。