『海に何が起こっているか』

関文威、小池勲夫『海に何が起こっているか』(岩波ジュニア新書 1991)を読む。
生物学や地球科学の観点から海に関するあれこれが記されている。
いくつか勉強になったところを記しておきたい。

  • アラビアの紅海は赤色の植物プランクトンが大量に発生する赤潮がよく起こるために赤い海と名付けられている。一方黒潮は流れが強く、植物プランクトンなどの粒子が少ないため、水が澄んでいて黒っぽく見えるために名付けられた。
  • 瀬戸内海は、その名がしめすとおり狭門(せと)、つまりせまい水路に囲まれた湾、灘、瀬戸などの海域がいくつも連なった複雑な地形である。つまり、外洋水との海水交換が悪い閉鎖性海域となっている。そのため、一度汚染物質が放流されると、長く海域に留まるため、一時は「死の海」とも呼ばれた。
  • 地球にやってくる太陽エネルギーのうち、約30%は雲の反射などで直接宇宙空間にへ逃げていくが、残りの約70%のうちの半分以上は海にいったん吸収される。熱は高温側から低音側へ移動するので、低緯度から高緯度に向かって海流の流れが作られる。そして、その途中の南北両半球の10度から20度の海洋上で蒸発量のピークを迎える。
  • オゾンとは酸素分子が3個結合したもので、そのオゾンが地上約30kmの高度を中心に地球をぐるっと取り囲んでいるので、オゾン層と呼ばれる。しかし、取り囲むといっても厚いところでも、空気分子の100万分10程度(10ppm)しかない。