日別アーカイブ: 2021年6月14日

『洋食器ベストカタログ』

テーブルウェア愛好会『洋食器ベストカタログ』(ナツメ社 1999)をパラパラと眺める。
タイトルそのまま、ディナープレートやサラダプレートをはじめ、さまざまな洋食器がブランド名と商品名、値段とともに綺麗な写真で紹介されている。アイスを掬うちっちゃいスプーンで1本1万円など、田中康夫氏の小説『なんとなく、クリスタル』を彷彿とさせるような内容である。「花より団子」「花の下より鼻の下」な自分にとっては、ほとんど興味のわかない内容であった。

ただし、誰しもが知っているイギリスのウェッジウッドやフランスのバカラ、ドイツのマイセンといったブランドでも歴史は浅く、せいぜい18世紀の前半、大半が19世紀になってからの創業である。その背景には、産業革命で力を付けたヨーロッパ諸国が、当時の中国から輸入した陶磁器を分析・改良した歴史がうかがわれる。ガラスはローマから中国へと渡っていったが、陶磁器はアヘンと引き換えに中国からヨーロッパに輸出されていった世界史の一幕が垣間見える。

「G7声明『台湾』明記」

本日の東京新聞夕刊より。
昨日閉幕したG7サミットの首脳声明の中で、「台湾海峡の平和と安定の重要性」が明記されたとのこと。中国の福建省と台湾島の間を台湾海峡と言うが、これまで世界各国は中国に配慮して「台湾海峡」という名称の使用を避けてきた経緯がある。しかし、今回のG7の声明では、緊張関係になる中国と台湾の間に位置する台湾海峡といったニュアンスで用いられている。皆さんが使っている帝国書院の地図帳で「台湾」を確認してください。国名は赤字で表記されていますが、台湾は赤字となっておりません。台湾海峡とあえて明記することは、中国と台湾は別の国だと遠まわしに指摘していることに相違ない。

私たち日本人の感覚に即してみると、「日本と北海道の間の津軽海峡の安全」や「日本と九州を隔てる関門海峡の安定」と表現されれば、「おや?」と思うであろう。G7がわざわざ「台湾海峡」と明記することの政治的意図が読み取れるであろうか。