テーブルウェア愛好会『洋食器ベストカタログ』(ナツメ社 1999)をパラパラと眺める。
タイトルそのまま、ディナープレートやサラダプレートをはじめ、さまざまな洋食器がブランド名と商品名、値段とともに綺麗な写真で紹介されている。アイスを掬うちっちゃいスプーンで1本1万円など、田中康夫氏の小説『なんとなく、クリスタル』を彷彿とさせるような内容である。「花より団子」「花の下より鼻の下」な自分にとっては、ほとんど興味のわかない内容であった。
ただし、誰しもが知っているイギリスのウェッジウッドやフランスのバカラ、ドイツのマイセンといったブランドでも歴史は浅く、せいぜい18世紀の前半、大半が19世紀になってからの創業である。その背景には、産業革命で力を付けたヨーロッパ諸国が、当時の中国から輸入した陶磁器を分析・改良した歴史がうかがわれる。ガラスはローマから中国へと渡っていったが、陶磁器はアヘンと引き換えに中国からヨーロッパに輸出されていった世界史の一幕が垣間見える。