日別アーカイブ: 2021年5月7日

『中国を知る』

田畑光永『中国を知る』(岩波ジュニア新書 1990)を読む。
著者はTBSの記者で、1972年の田中角栄首相の日中国交正常化の際にも同行取材を行ったほどの中国通である。その著者が刊行1年前に起こった天安門事件や日中の交流史、そしてこれからの日中関係の3点についてまとめている。
天安門事件の頃の中国共産党の記者会見の様子が興味深かった。まるで現在の菅総理そのままではないか!
また、著者は以下の後に続いて、政権側に対して再質問に対する答えを義務づけることで、都合の悪いことには答えないという身勝手な態度が改まると述べている。

私が若いころ、中国からえらい人が日本にやって来て、記者会見する時は、あらかじめ質問をたくさん出させて、その中から自分で答えたい質問だけに答えて、あとは知らんぷりということがよくあった。ずいぶん奇妙な感じを受けたものだが、それがまさに国内での中国共産党の態度だったのだ。

「スコットランド議会投票 独立支持政党過半数確保か」

本日の東京新聞朝刊より。
2年1組だったか、プレゼン発表でイギリスを取り上げたグループがありました。イギリスの正式名称やフィッシュアンドチップスについて説明してくれました。イギリスの正式な国名は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」といい、イングランド、ウェールズに、スコットランドと北アイルランドの連合国家です。しかし、この国名が変わる日が近いかもしれません。

その原因は今年1月のイギリスのEUからの離脱です。パスポートや関税が不要で、人やモノが自由に域内を移動することができる欧州連合(European Union)から正式に脱退しました。昨年末まで漁業権交渉や税関手続きで揉めていたのですが、ジョンソン首相の手腕で期限ギリギリに交渉がまとまりました。

しかし、その結果、これまでフランスなどの大陸の工場で作られていた食料品などの日常生活品を積んだトラックが、ドーバー海峡を渡って直接イギリスのスーパーに運ぶことができなくなってしまいました。またアイルランド島では陸続きにも関わらず、EUに加盟しているアイルランドとEUから離脱した北アイルランドとの間でモノの移動に関するルールが明確化されておりません。

そして、EUから離脱したイギリス内で、スコットランドと北アイルランドがイングランド支配からの独立の機運が高まっています。スコットランドは地図帳41ページを見れば分かりますが、東方沖の北海油田とパイプラインで結ばれており、独立すると油田からの利益もスコットランドのものとなります。北海油田周辺から天然ガスも採掘されており、スコットランドの財政を豊かにするであろうと言われています。

また、北アイルランドの独立問題は歴史的に根深いものがあります。カトリックとプロテスタントの宗教問題も絡んで、アイルランドとの統一を目指すIRA暫定派やシン・フェイン党とイギリス軍やイギリス政府との対立が100年以上も続いています。過激なテロ行為は沈静化しつつありますが、スコットランドと同じく、独立の議席がかつてないほど増加しています。

もしかすると数年後には、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国ではなく、「イングランド及びウェールズ連合王国」と「スコットランド共和国」、「アイルランド統一国家」の3つの国家になっているかもしれません。