日別アーカイブ: 2021年5月29日

「仏 ルワンダ虐殺に『責任』」「独 ナミビア虐殺認める」

本日の東京新聞朝刊に、アフリカのルワンダとナミビアに関する記事が掲載されていた。
まずルワンダであるが、パッと場所が思い浮かぶ高校生は少ないであろう。アフリカ大地溝帯に位置するため、通常は地中深くに眠るレアメタルが産出される。特にスマホのコンデンサにも使われるタンタルの産出は世界第1位である。また、ナミビアは大陸西側に位置するため、沿岸をベンゲラ海流という寒流が流れており、降水量が極めて少ない。世界遺産にも認定されているナミブ砂漠が広がっている。ちなみに、ナミブ砂漠というと、1000年から2000年も生きると言われているウェルウィッチアを覚えておきたい。

記事によると、ドイツ政府は旧植民地であったナミビアで先住民族を虐殺したことを認め、1,400億円の投資を約束したとのこと。色々な見方があるのだろうが、私は第二次世界大戦後の東南アジア諸国に対する日本政府のやり方に似ているような気がして、あまり感じの良いものとは思わなかった。サンフランシスコ平和条約締結後、日本はフィリピンやベトナムなどの一部の国を除いて賠償金を支払っていない。その代わりに日本企業の工場を作ったり、日本製品を提供するなどの「経済協力」を行なってきた。そうした戦後賠償を元手に高度経済成長を突っ走ってきた歴史がある。

ドイツのやり方もこれから人口爆発を迎え、世界市場に躍り出てくるアフリカに再び参入しようとする時代錯誤な帝国主義的な臭いを感じてしまう。穿った見方なのかもしれないが、アメリカやロシア、中国など顔ぶれこそ異なるが、アフリカ分割が繰り返されているように思えてならない。

「シリア大統領選 アサド氏圧勝で4選」

本日の東京新聞朝刊に、シリアのバッシャール・アサド大統領が得票率95%で圧勝したとの記事が掲載されていた。地図を見れば分かるが、シリアはロシアの宿敵であるトルコの南側に位置する。トルコを挟み撃ちにする絶好の地域であるため、ロシアから軍事支援を受け、父のハフェズ・アサド前大統領時代から50年以上にわたって、アサド政権はシリア支配を続けている。また、アサド政権は中東イスラム諸国の大半を占めるスンニ派ではなく、イスラム世界ではマイナーなアラウィー派との関係が深い。

2010年頃、イスラム世界では「アラブの春」という民主化運動が巻き起こった。チュニジアやエジプト、リビアといった国で次々と独裁政権が崩壊していった。シリアでもアサド独裁に対する反政府活動が活発化したのだが、他の国と異なり、反政府組織に同調して、イスラム過激派やスンニ派の周辺諸国が次々と参戦するという構図になってしまったのだ。特にロシアの後ろ盾があるアサド政権に対し、トルコがアメリカの支援を受けて内戦に加担したため、シリア内戦は泥沼化していく羽目になった。その結果として、シリア難民が大挙してヨーロッパに押し寄せたのは記憶に新しいところである。また、シリアやイラク、トルコ域内で暮らすクルド人も難民化し、日本でも難民申請が急増することとなった。

話が本題からずれてしまった。難民問題はまた後日取り上げたい。