吉村作治『ピラミッドは語る:王の墓・黄金・盗掘』(岩波ジュニア新書 1985)をパラパラと読む。冒頭の著者の大学での学生運動との出会いやエジプトに渡った時のエピソードは興味深かった。大きなことを成し得る人間は、些事に拘らず、邁進していくものだと思った。
中盤以降は、エジプトの歴史やミイラの作り方の話が延々と続くのでさらっと読み流した。その中で、最後の著者の言葉が印象に残った。
考古学はすぎさった昔のことを掘りおこしていく学問です。そして考古学を学ぶ人は「時代は変わっても人間というものは変わらないのだ」ということをいくらかでも感じると思います。そこが大切なのです。我われは過去の歴史をみて現在がどのような時代なのかを客観的に知ることができるのです。考古学の存在意味の一端はそこにあると思います。