牧村僚『人妻メモリアル』(双葉文庫 2011)を読む。1993年にフランス書院文庫から刊行された本で、官能小説の王道のよう作品だった。
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「ウイグル人権法案可決」
本日の東京新聞朝刊に、米上院本会議で、中国新疆ウイグル自治区で続くイスラム教徒への人権侵害に制裁を科す法案を全会一致で可決したとの記事が掲載されていた。
そもそも新疆ウイグル自治区と言われて、ピンとくる人は少ないでしょう。地図帳を開いてみると、中央アジアに位置し、中国全土の6分の1を占める広大な土地であると分かります。領内には広大なタクラマカン砂漠がありますが、日本の約4.5倍の広さがあります。元々中国の大半を占める漢民族とは異なるウイグル人の国で、言語も宗教も異なります。中国の首都北京から見れば、ウイグル自治区は辺境の地にあるのに、中国政府がなぜウイグル人に対し不当な拘束や拷問、信教の自由の否定などを行うのか、よく分からないでしょう。
皆さんは中学校か高校1年次に国語の授業で杜甫の「春望」を習ったことでしょう。「国破れて山河在り 城春にして草木深し」から始まる五言律詩です。唐の都長安がめちゃくちゃに破壊され、楊貴妃の愛欲に溺れた玄宗皇帝が都を逃げ出す安史の乱を描いた作品です。当時唐の役人(科挙に受かった超エリート)になったばかりの杜甫は、国そのものがなくなっていく不安で一夜にして白髪の老人になってしまいます。
中国の歴史は周囲の国との軋轢の歴史と言ってもよく、中央アジア出身の安禄山、史思明によってシルクロード貿易で栄えた唐が滅ぼされたり、モンゴル人の元や女真族の清などに支配されたりと、日本とは全く異なる政治観が形成されてきた。
そのため、現在の中国政府はウイグル自治区だけでなく、チベット自治区や香港、台湾を含め、「一つの中国」というナショナリズムを貫徹しようとします。新疆ウイグル自治区での人権侵害と、香港の独立を強圧的に押さえつけようとする動き、台湾に対する執拗な嫌がらせも同じ地平で見ていくべき問題です。
中国の問題になぜ米国が絡んでくるのかということについては、授業の中で触れたいと思います。
『日本人が知らないヨーロッパ46ヵ国の国民性』
造事務所『日本人が知らないヨーロッパ46ヵ国の国民性』(PHP文庫 2013)を読む。
タイトルにある通り、ヨーロッパ46カ国の国民性をざっくばらんにカテゴライズし、バラエティ番組のような「あるある」でまとめている。話半分に理解したいが、雑学として面白かった。
話のネタとして、印象に残った箇所をまとめておきたい。
イギリスは1,500年頃に起こった宗教改革の影響でローマ教会から独立した、英国国教会という組織があり、カトリックとプロテスタントの中間にあるとも言われるイギリス独自の宗教を、国民のじつに70%以上が信仰している。
アイルランドでは、メインにマッシュポテト、サイドディッシュがフライドポテトといったジャガイモばかりの夕食や、朝から晩までジャガイモ尽くしなんてことも一般家庭ではよくある。
恋の話ばかりするフランス人は、恋愛&セックスが大好き。街中やオフィスでもイチャイチャし、家族の前でもディープキス。2日に1回はセックスを楽しむ。
ベルギー人にとって、「EU(ヨーロッパ連合)の本部、NATO(北大西洋条約機構)の本部が置かれているヨーロッパの中心」であることは、大きな誇りだ。だが、残念なことに「ベルギー語」はない。
世界で最も平均身長が高いのはオランダ人だ。男性は183.3センチ、女性は170.7センチと、ダントツの1位。それぞれ、日本人の平均身長よりも10センチ以上高い。街を歩くと、2メートル級の男性もゴロゴロいる。
ルクセンブルクの一人あたりのGDPは、ダントツの世界第1位で約11万6,000ドル(約1160万円)。つまり、世界一稼いでいる金持ちの国なのだ。その主な産業は金融だ。
ドイツのソーセージは1500種類以上、ドイツパンは500種類以上、ジャガイモは50種類以上。決まりごとが好きなドイツ人は、マニュアルやルールにのっとって業務を進めていく。例外はほとんどない。ドイツ人の辞書に、臨機応変という言葉は存在しないかもしれない。柔軟に対応していたら、計画通りに進まないからだ。
ウィーンは「生活の質が高い都市」世界ランキング1位だ。4年連続である。にもかかわらず、買い物では「オーストリア人のいい加減さ」との戦いになる。オーストリア人は、勤勉とはいえない。時間通りに物事が運ぶことは滅多にないし、「◯時に修理に来てくれ」と約束しても、時間には、まず来ない。
スイス人は異常なほど愛国心が強く、プライドが高い。山に囲まれている地形もあり、島国のような感覚をもっている。そして、日本人のことさえルーズだと思えてしまうほど、勤勉でまじめな倹約家。また、討論や議論が好きで、それが娯楽のようになっている。
リヒテンシュタインは人口3万6000の小さな国だが、スイスと同盟を結んでちゃっかり守ってもらっている。オーストリアの貴族・リヒテンシュタイン家が国を運営していて、税金はタダ同然。
ロシア人はとにかく酒をよく飲む。みんなアルコール度40%以上のウオッカに慣れていて、それ未満のものは酒とは呼ばない。なんと、2011年までビールは酒ではなくソフトドリンクとしてあつかわれ、未成年でも平然と飲んでいた。そのせいで、アル中がやたらと多い。
日本人からするとウクライナはなじみのない国だが、ウクライナ人にとっては、「コサックと日本の侍は、名誉、勇気、潔さなどの共通の価値観がある」という。ウクライナ人は「ロシアの一部」と扱われのを嫌う。もともと、ロシアの原型とされる9~13世期のキエフ公国は、現在のウクライナの首都キエフを中心としていた。
ポーランドという国名は「平原の国」を意味する。実際、南部のチェコとの国境地帯以外、標高300メートル以上の山はほとんどない。平地が多いので農業がさかんだが、東西には山脈のような天然の障壁がないので攻め込まれやすい。おかげで18世紀にはドイツとオーストリアとロシアに分割支配され、100年以上ものあいだ、「地図にはない国」となった。
世界でいちばん薄毛の男性が多いのはチェコだという。成人男性に占める薄毛率は約43%、じつに日本の1.6倍以上ときている。この理由は、脂っこい食事が多いためのようだ。内陸国なので海産物が少なく、わかめなどを食べる機会もないためという説もある。
チェコ人が好きなものといえば、なんといってもビールだ。キリンビールによれば、国民1人あたりのビール消費量は、なんと二十ねん近く連続でチェコがトップ! 年間で約120リットルと、日本人の3倍近く飲んでいる。
チェコが工業地帯の都会なのに対して、スロバキアは農業地帯。日本国内でたとえるなら、東京の近郊にある茨城県のような関係だ。すろばきあとは「スラブ人の国」という意味の
総称だ。「おお牧場はみどり」の歌は、スロバキアとチェコにまたがるモラヴィア地方の民謡だ。あえて東欧らしい素朴な人々に触れたければ、近代化しすぎていないスロバキアが穴場といえるかもしれない。
ハンガリー人の先祖は、9世紀に東方からヨーロッパに侵攻してきた騎馬民族のマジャール族だ。その名はペルシャ語のムグール(モンゴル)に由来する。ハンガリー人の名前は、リスト・フランツ、バルートク・ベラなどと「姓・名」の順に記される。
ハンガリー人は、おしゃべり好きで、知的好奇心が強い。特に理系分野での天才的な人物が目立つ。世界に1400万人ほどいるハンガリー人には、ノーベル賞受賞者が13人もいる。数学者フォン・ノイマンはハンガリー生まれだ。ユダヤ系ハンガリー人のノイマンは、ナチスの被害を逃れて渡米し、初期のコンピュータや原子力爆弾の開発に深くかかわっている。
1980年大に大流行したルービックキューブを発明したルビク・エルネーは、ハンガリー人の建築家である。
ルーマニアの英語の表記は「Romania」で、「ローマ人の国」という意味だった。性格や話す言語はイタリアに近いけれど、宗教はロシアなどとおなじ東方正教の信徒がほとんどを占めている。
ルーマニアというと吸血鬼ドラキュラの故郷として有名だが、この話をルーマニア人にすると「またかよ……」という顔をされる。日本といえば「サムライ、ハラキリ、ゲイシャ」とおなじステレオタイプの典型である。
ルーマニア人といえば、1970年代に世界的人気を博した体操選手のナディア・コマネチのような美女も多い。しかし、ルーマニアでは西欧や遠いアジアの風俗店で働く女性も多い。なぜなら貧困のためだ。2010年の一人あたりのGDPは7,522ドル。ドイツの5分の1以下、スロバキアの2分の1以下しかない。
人口360万人ほどのモルドバはもともとルーマニアの一部だったが、第二次世界大戦中、どさくさに紛れて旧ソ連に占領されてしまった地域だ。言語はルーマニア語とほとんど変わりない。1990年代始めの旧ソ連崩壊を機にモルドバは独立したが、今度はロシア系住民が多い東部地域がモルドバからの独立を唱えるというややこしい事態になっている。
ブルガリアといえばヨーグルト。実はブルガリアでは、ヨーグルトはデザートではなく、野菜スープに混ぜたり、ハンバーグにかけたりと、幅広く料理の材料として使われている。ブルガリア人にとって、ヨーグルトは各家庭で作るもので、家ごとに微妙に味が違う。戦前の日本の農村で、同じく発酵食品の味噌やぬか漬けを作っていたのと同じである。
ロシアのすぐ隣にあるベラルーシは、旧ソ連時代には「白ロシア」と呼ばれた国で、950万人が住む。大変旧ソ連への憧憬が強く、東京都民になりたがっている埼玉県民や千葉県民のようだ。経済的にもロシアへの依存が強いが、若い人たちはロシア追従の政府に批判的である。
フィンランドは「フィン人の国」または「終わりの国」という意味にもなる。実際、北極圏に接するフィンランドは、雪と大森林によって外から隔てられている。加えて、中央アジアにルーツを持つフィンランド語は、他のヨーロッパ言語とは異質で外界とは言葉も通じにくく、まるで陸の孤島のようだ。
フィンランドといえば教育立国で、授業料は大学まで無料、学校給食も無料だ。OECDによ(経済協力開発機構)によるPISA(学習到達度調査)では、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーのいずれも上位の常連となっている。
ムーミンの原作者の童話作家のトーベ・ヤンソンは1914年生まれで、戦乱や貧困を目の当たりにして育った。その体験から、ヤンソンは「ムーミンは争わず、お金も車もほしがらない」と力説している。
スウェーデンは北極圏に接し、国土の大部分は森林だ。川や井戸では昼間のうちに水を汲んでおかないと夜には凍ってしまう。このような環境から、「あとでラクをするため今はガマンする」を重ねてきた民族なので、高税率の福祉国家を受け入れる下地が形成されてきたのである。また、なんでも自分でやるという生き方から、家具メーカーのIKEAが生まれてきている。
ノルウェーは北海油田から豊富に石油・天然ガスが得られるため、一人あたりのGDPは10万ドル近く、日本やアメリカの2倍以上の額だ。するとさぞやノルウェー人は高級車や高級ブランド品や美食まみれの裕福な生活をしているのだろうと思いそうだが、暮らしはかなり質素である。食生活も単調で地味である。1995年に、ノルウェーのヨースタイン・ゴルデルが書いた哲学入門の小説「ソフィーの世界」がベストセラーになったが、ゴルデルは印税でお金持ちになり大いに戸惑ったという。
デンマークは国土の大部分は海抜170メートル以下の平地で、風通しが良いため、雲が高速で移動し、すぐ天気が変わり、雨は横殴りに降る。デンマークは立憲君主制の国である。自立性や独立性が重んじられ、18歳になると親元を離れるのが通例である。レゴブロックの発祥の地で、家庭だけでなく、病院や空港などにも常備されている。
エストニアは旧ソ連圏きってのIT先進国と呼ばれる。インターネット電話「スカイプ」を開発した国で、官公庁では紙の書類は使わず、他国に先駆けて2002年から電子投票を段階的に導入している。
リトアニアの2大都市ビリニュスとカウナスには、戦前の日本領事館に勤務していた杉原千畝副領事の名をとった「スギハラ通り」がある。
アイスランドには姓というものがない。多くの人物の名前のあとに「◯◯ソン」「◯◯ドッティル」とつくが、これは「◯◯の息子」「◯◯の娘」という意味で、自分の名と親の名をくっつけているのだ。
グリーンランドはデンマークの自治領で、人口5万人の島だ。住民の大部分は北アメリカの先住民(イヌイットの一派)で、日本人と同じようなアジア系の顔をしている。
スペインというと、シェスタの習慣で知られるが、それもEUの市場統合や、女性の社会進出で成り立ちにくくっている。また、「情熱と狂気」が同居すると言われ、闘牛などのスリルと冒険を好む。
ポルトガル人を語るのに欠かせないのが、「サウダーデ」という言葉だろう。これは郷愁、懐旧、哀惜、といった意味がある。例えば、遠い故郷や亡くなった恋人などを懐かしむ気持ち、失ったものを悲しむ切なさ、甘い楽しい思い出など、それらを全部ひっくるめた言葉だ。どこの外国語にも訳せない言葉と言われている。また、タラ料理が豊富である。
戦国時代以降、「カルタ」や「タバコ」「ドトール」などの日本にもポルトガル語が入っているが、1549年に来日した宣教師フラシスコ・ザビエルはポルトガルではあまり有名ではない。現在ではクリスティアーノ・ロナウドが有名である。
イタリアは分裂国家だったので、今でもイタリア国家よりも、ジェノヴァやヴェネツィア、フィレンチェといった地域へのアイデンティティの方が強い。明治以前の「尾張の人」とか「薩摩の人」という感覚と同じである。食事やサッカーも地域主義が色濃く出ている。また、パスタが主食であり、日本の10倍以上も消費されている。
クロアチアは地図で見ると、ちょうどひらがなの「く」の字のような形をしている。旧ユーボスラヴィアの国であるが、かつてはオーストリア帝国に属していたので、多分に西欧的である。隣国のセルビアへの敵対心が強く、1990年代の内戦では血みどろの殺し合いを演じた。とはいえ、クロアチア人とセルビア人はよく似ており、言語も方言程度の違いしかない。但しセルビアは東方正教会が多く、ロシアという「虎の威を借る狐」のようにユーゴスラヴィアの中心となった。一方、カトリック信者が多く西欧的なクロアチアは旧ユーゴ内で不満を燻らせていた。第二次大戦でナチスを撃破した旧ユーゴのティトーはクロアチア人だが、セルビア人との融和を進めたということでクロアチアでは評判が悪い。格闘家ミルコ・クロコップが有名である。
クロアチアの北にある人口200万人ほどのスロベニアは、スロバキアと間違えやすいが、実際どちらも「スラブ人の国」の意味で同じだ。地理的には、石灰岩地形のカルスト地方が有名である。
セルビアは1990年代のボスニア内戦とコソボ紛争で、ボスニア内のクロアチア人やコソボ独立派を大量に殺害したというので、すっかり悪者扱いされている。今もセルビアを訪れる外国人は少ない。セルビア出身の有名人というと、アメリカの電気自動車テスラ社の由来にもなった発名家ニコラ・テスラが挙げられる。交流発電機を発明し、エジソンの最大のライバルとも目された人物である。もう一人は名古屋グランパスで活躍したストイコビッチである。現在はEU加盟を申請中である。
アドリア海に面し、2006年に独立したモンテネグロは、日本人にはなじみが薄い。大きさも山がちな地形も福島県そっくりである。但し人口は、福島の3分の1の62万人である。
セルビアの南にあるマケドニアであるが、ギリシャが本来のマケドニアということで、最近国名を北マケドニアと変更している。ヨーロッパ最貧国のひとつで、社会主義時代のボロボロの建物も多いという。
ボスニア・ヘルツェゴビナと聞いてもピンとこないが、サッカー日本代表を務めたイビチャ・オシムの故郷というと、「ああ!」となるだろう。分かりにくい国で、ボスニア人とセルビア人とクロアチア人が混在している。内戦こそ終了したが、現在でも政治的文化的に融合はせず、イスラム教徒のボスニア人、東方正教会のセルビア人、カトリック教徒のクロアチア人の各代表3人が8ヶ月交代で国家元首を務める。
アルバニアはかつて「ヨーロッパの北朝鮮」と呼ばれており、共産圏にありながら、ソ連や中国とも仲たがいして、ほとんど鎖国状態であった。現在も町中に核戦争の際の避難用施設が放置されている。
コソボはちょうど大きさも人口も岐阜県と同じくらいである。その大多数はイスラム教徒のアルバニア系住民で、セルビアからの独立が国際的に承認されたのが2008年のことである。
ギリシャの年間セックス回数は常に上位で、約3日に1回以上、なんと日本の3倍以上の絶倫ぶりだ。4世紀以降、東ローマ帝国の中心地だったが、15世紀から19世紀まで400年近くもオスマン・トルコ帝国の支配を受けている。西欧的な気質とアジア的な気質が混じった独特な雰囲気を有している。
ギリシャとトルコとの険悪ムードが象徴されているのが、キプロスである。日本の四国ほどの大きさだが、北部のイスラム教徒のトルコ系住民が大半を占める北キプロス・トルコ共和国と、南部のギリシャ系のキリスト教徒が多数を占めるキプロス共和国の2つの国家に分断されている。
トルコをヨーロッパに含めることに違和感を感じるが、サウジアラビアなどのアラブ圏とは風景も文化も大きく違う。トルコは砂漠の国ではないし、アラビア文字ではなく、アルファベットが使われている。イスラム教の国だが、日常での宗教的な束縛はわりとゆるい。政教分離を徹底したトルコでは、ターバンやチャドルは禁止であり、飲酒も許されている。ヨーロッパ文化にどっぷりと浸かりつつも、イスラム文化への回帰も見られる。また、トルコは世界一の親日国といわれる。1890年にトルコの軍艦エルトゥールル号が紀州沖で座礁したとき、日本人の救助活動によって69名が無事に帰国を果たしたことを忘れていない。
フランスとスペインの間にあ理、人口8万人ほどのアンドラ公国は、フランス政府と現地のカトリック司教が共同統治する国である。宗教国家なのだが、ラテン気質の観光地で、カトリックの縛りは極めてゆるい。
地中海に浮かぶマルタは、シチリア島の南に位置し、人口は41万人ほど。18世紀末まで同地を支配したマルタ州道騎士団の影響が強く残っており、働き者で、倹約家が多い。
「コウナゴ 水揚げゼロの衝撃」
本日の東京新聞朝刊に、宮城県沿岸で水揚げされるコウナゴが全く獲れないとの記事が掲載されていた。
中学校の地理で学習したと思いますが、岩手県や宮城県の三陸海岸沖は寒流と暖流が出会う潮目となっています。そのためサケ、マス、タラ、にしん、サンマなどの寒海魚と、イワシ、さば、カツオなどの暖海魚も水揚げされ、世界三大漁場の一つに数えられています。しかし、記事にもあるが、地球温暖化の影響で、寒流の勢いが弱くなり、潮目の場所が三陸沖から大きく北上しています。
地球温暖化は、海水温に大きな影響を及ぼします。下記は2020年2月に気象庁が発表した海面水温の長期変化傾向のグラフです。130年前からほぼ一貫して海水温は上昇を続けています。特に2019年は、統計を開始した1891年以降2016年と並んで最も高い値でした。私たちが大好きなお刺身やお寿司も、これから大きく変貌していくことになるでしょう。
「コスタリカ 感染抑止成功」
本日の東京新聞朝刊に、中米コスタリカが新型コロナウイルスの感染拡大に成功を収めているとの記事が掲載されていた。
コスタリカと言われても、パッと国のイメージは出てこないであろう。統計データによると、熱帯地方に位置し、人口は505万人、1人当たりのGNIは11,120ドルである。メキシコとブラジルの1人当たりのGNIが同じ8,610ドルなので、コスタリカの生活は落ち着いていると見ることができる。
記事にもある通り、コスタリカは1949年の施行の憲法で軍隊を廃止したことで知られる。統計によると、準軍隊に9,600人が所属するしているが、恐らくは一般の警察では手に負えない事態に対処する機動隊のような組織なのであろう。
記事の最後にある、コスタリカ大学の元医学部庁の話は、日本人の耳に痛い。
われわれの最良のワクチンは、規律正しく教育のある国民と強固な保険制度だ。軍に投資せず、保険や年金、教育に多くを費やしてきたことが非常に重要だった。
日本の軍事費は高く、世界で9位か10位くらいに位置する。軍事費が増えれば増えるほど、対外的な緊張が高まり、ますます軍事費増加してしまうスパイラルに陥っている。