日別アーカイブ: 2014年8月23日

『ローマは一日にして成らず[上]』

塩野七生『ローマは一日にして成らず[上]:ローマ人の物語1』(新潮文庫 1992)を読む。
昨日ギリシャ・ミケーネ文明についての本を読んだので、次はローマだろうということで手に取ってみた。
全15冊の『ローマ人の物語』シリーズの第1巻の文庫本である。
トロイ落城の惨劇から脱出したアエネアス一行が流れ着いたとされる紀元前13世紀から、ロムルスによる建国を経て、紀元前5世紀半ばまでのローマ人の建国の奮闘と、クレタ文明からペロポンネソス戦争前夜までのギリシャの歴史が読みやすい文体で描かれる。
歴史家ディオニソスの著作[古ローマ史』の中で次のように定義づけていたそうだ。妙に印象に残ったので引用してみたい。

人間の行動の正し手を、
宗教に求めたユダヤ人
哲学に求めたギリシア人。
法律に求めたローマ人。
この一事だけでも、これら三民族の特質が浮かび上がってくるぐらいである。

後半は歴史だ!

8月の前半までにレポートをなんとか16冊提出することができた。
残りは、経済学史と日本史、西洋史、東洋史のそれぞれ2冊、合計8冊を数えるだけである。

しかし、ただ指定された内容のレポートを提出し、試験に受かるだけの最短距離の学習では味気ない。
高校時代や浪人時代の受験勉強では味わえなかった歴史にまつわる人間模様にまで踏み込んで、歴史のつながりや地理的視点を学んでいきたい。
まずは歴史小説から始めていきたい。
勉強できる環境と、支えてくれる家族に感謝したい。

『古代への情熱』

シュリーマン・関楠生訳『古代への情熱:シュリーマン自伝』(新潮文庫 1977)を20数年ぶりに読み返す。
西洋史の勉強の手始めに手に取ってみた。
奥付を見ると1989年に刷られているので、高校時代に買った文庫本そのものである。
20数年前に読んだ時は、『インディ・ジョーンズ』のノベライズのような内容を期待していたのだが、あまりに淡々とした文体に肩透かしを食らったような印象が残った。今回もさほど内容についての印象は変わらないが、40代半ばまでを事業と勉強に費やし40代後半になってから子どもの頃の夢を追い始めるシュリーマンの生き方への憧れと、ほぼ同じ年齢になったことによるシュリーマンへの親しみを感じた。空想の都市だと考えられていたミューケナイやトロイアを探し求めようとするシュリーマンの姿から、中年になってから新しいことにチャレンジするエネルギーを貰った気がする。

余談だが、私は高校を卒業してから合計で9回の引っ越しを経験している。その度に本は全て運んでいるので、この『古代〜』は、10回近く段ボールに詰められては本棚に戻されるという体験をしているのだ。私自身高校時代は歴史に興味があり、高3の現役の時には史学科を受験している。その後浪人している間に歴史の用語の暗記ばかりの勉強に飽きがきてしまったのか、史学科志望から文学科志望に変更している。
しかし、その文学への道も大学1年から数えれば20年近い年月が流れている。今年、改めて地理歴史の勉強を始めるに当たって、考古学者を夢見ていた頃に読んだ本が、20数年経ってもう一度本棚の奥から「発掘」されるというのは、何かしらの運命めいたものを感じざるを得ない。