塩野七生『ローマは一日にして成らず[上]:ローマ人の物語1』(新潮文庫 1992)を読む。
昨日ギリシャ・ミケーネ文明についての本を読んだので、次はローマだろうということで手に取ってみた。
全15冊の『ローマ人の物語』シリーズの第1巻の文庫本である。
トロイ落城の惨劇から脱出したアエネアス一行が流れ着いたとされる紀元前13世紀から、ロムルスによる建国を経て、紀元前5世紀半ばまでのローマ人の建国の奮闘と、クレタ文明からペロポンネソス戦争前夜までのギリシャの歴史が読みやすい文体で描かれる。
歴史家ディオニソスの著作[古ローマ史』の中で次のように定義づけていたそうだ。妙に印象に残ったので引用してみたい。
人間の行動の正し手を、
宗教に求めたユダヤ人
哲学に求めたギリシア人。
法律に求めたローマ人。
この一事だけでも、これら三民族の特質が浮かび上がってくるぐらいである。