月別アーカイブ: 2013年12月

大学案内研究:横浜美術大学

横浜美術大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
1966年、目黒区碑文谷にある小中高校のトキワ松学園の創立50周年を記念して横浜の郊外に開設された、造形美術科を持つトキワ松学園女子短期大学が母体となっている。ちょうど私の実家の近くに位置しており、トキワ松学園短大の正門前をバーベルを持ちながら走った記憶がある。1995年にトキワ松学園横浜美術短期大学に校名を変更し、2010年に4年制大学に鞍替えしている。
ここ数年は定員を満たしていないものの、交通の不便な場所にありながら、定員の8割位の学生を確保しているというのはすごい。
1年次は、絵画や彫刻のA系、クラフトデザインのC系、ビジュアルデザインのV系のいずれかに所属し、2年次より絵画、彫刻、クラフト、プロダクトデザイン、テキスタイルデザイン、ビジュアルコミュニケーション、映像メディアデザイン、イラストレーションの8つのコースに分かれる。
パンフレットにロンドンパラリンピックでゴールボール日本代表として金メダルを獲得した学生の話が紹介されていた。美術というジャンルは時間や協同に左右される音楽に比べ、障碍者の方にとっても親しみやすいものなのであろう。才能ある者が集まり、切羽詰まったような時間の中で演奏会や展覧会をこなしていく音大や美大も大事であるが、基礎から丁寧に教えてくれ、じっくり作品に向き合う時間を大切にする音大や美大もまた必要であろう。ただし、就職は厳しそうなので、金に余裕がある者という限定は外せそうにないが。
学長との対談記事が掲載されていた横浜美術館の逢坂館長の次の言葉が印象に残った。「美術」という言葉を別の言葉に置き換えても使えそうな文章だ。

生きていく上で、美術が与えてくれる役割は大きい。私は学生のみなさんに、是非このことに気づいて4年間という貴重な時間を過ごしてほしいと願っています。日本は物質的に恵まれた国でありながら、先進国の中で幸せだと感じている人の割合が少ない国だと言われています。そんな中で、自分がどうすれば本当に豊かな生き方ができるのか、足もとから見つめ直そうという若者が増えてきているように感じます。生まれたときから身の回りに物や情報が溢れているが故に、逆に自分の道筋、生き方を見つけにくくなっている。しかし、そういうときにこそ、美術を通して自分のオリジナリティを模索する意義は非常に大きいと思うのです。自分の創造性を育むことは、生きていく上で必ずや糧になる能力だと思います。いい環境に身を置いて、美術を通して自分自身とじっくりと向き合う。横浜で過ごす4年間が、みなさんの将来をより豊かなものにしてくれたらと願っています。

大学案内研究:帝京科学大学

帝京科学大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
1991年に山梨・上野原市に開学した新しい大学である。中央自動車道を走っていると大きな看板が見えるので名前だけは知っていた。数年前に東京・北千住にキャンパスを設け、山梨市キャンパスとあわせ3カ所のキャンパスで授業を行っている。学部ごとにキャンパスが異なるというのは他大にもあるが、帝京科学の場合は、同じ学部でキャンパスが全く異なるので大変分かりにくい。医療科学部は上野原の理学療法学科、作業療法学科、柔道整復学科と千住の東京理学療法学科、東京柔道整復学科、看護学科の6学科体制である。これで同じ学部として認可を出すというのは疑問である。また生命環境学部自然環境学科は上野原だけでは集まらないためか、1・2年次は学生が集まりやすい千住キャンパスでも学べる体制となっている。
大学という学問研究の場というよりは、全国規模で展開する予備校や専門学校と大差ない。パンフレットの体裁も専門学校と同じであり、カリキュラムについても。教養科目はほとんどなく、ただ国家試験に必要な科目を並べただけの簡素な内容である。
また、入試についてもAO入試や推薦入試でおよその定員を確保してしまい、一般入試は募集人員を下回る合格者しか出していない。こんなインチキ入試がまかり通っていいのか。真面目に勉強した生徒が不利になるような仕組みについては是正を望みたい。

大学案内研究:多摩美術大学

多摩美術大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
インテリアのカタログのような体裁で、在学生や卒業生の作品で埋め尽くされている。
1935年に東京都世田谷区上野毛に創設された多摩帝国美術学校が母体となり、1953年に絵画科・彫刻科・図案科からなる多摩美術大学が開設されている。沿革のページにわざわざ1969年学園紛争により全学封鎖と記載されている。その後1971年から八王子キャンパスへの移転が開始され、1989年には元の上野毛キャンパスに絵画学科・デザイン学科・芸術学科からなる美術学部二部が設置されている。美術学部二部は、1999年には造形表現学部と名称を変えたものの学生が集まらなかったのであろうか、来年2014年でもって学生募集停止が決定している。来年度以降は、日本画専攻・洋画専攻・版画専攻からなる絵画学科、彫刻学科、工芸学科、グラフィックデザイン学科、プロダクトデザイン専攻とテキスタイルデザイン専攻からなる生産デザイン学科、環境デザイン学科、情報デザイン学科、芸術学科と、来年上野毛キャンパスに開設予定の統合デザイン学科と演劇舞踊デザイン学科の10学科で構成される美術学部の単科大学となる。

大学の開設当初から「図案科」が設けられていたためか、デザインに重きが置かれる。昨年の入試倍率でもグラフィックデザインは10倍を超える難関である。
やはり制作の実践を根幹に据えた大学なので、文学部にありがちな美術理論や鑑賞を学ぶ芸術学科は人気がない。定員割れ状態であろうか。
また、八王子に移転を果たした後の上野毛キャンパスの有効活用のためか、理念のはっきりしないデザインや映像表現の学部を開設しており、来年度以降も看板を替えて延命を計っているが、わざわざ都心の狭いキャンパスを確保しておく必要があるのだろうか。この辺りが大学経営の脇の甘さにつながらなければよいが。

また、パンフレット冒頭の多摩美術大学の理念「自由と意力」の文章が格好良かった。

自由は最も尊いものである
ー美術は自由なる精神の所産ー
この建学の心を守る路程が
多摩美術大学の歴史である。
自由の校是は、与えられたものではなく
課せられたものなのだ
しかし意力の併起がなければ
自由は手段にすぎない
意力によって自由は生まれ
自由によって意力は育まれる
自由と意力
ひとくみの言葉は
学内に深沈として流れる美しい河である

特定秘密保護法成立に関する声明

メーリングリストより

特定秘密保護法成立に関する声明

12月6日、自民、公明両党は、国民の多くの反対にもかかわらず、これまでに例を見ない非民主的・暴力的な国会運営で、特定秘密保護法を強行採決し、強引に成立させました。まさに、歴史を汚す暴挙としかいいようがありません。
安倍政権は、現行法では国の安全に関わる秘密の漏洩を防ぐ管理体制が不十分として、秘密保全体制をつくるとしていますが、根底には、政府が国民に知 られたくない情報の公開を制限し、操作しようとする意図が明白です。これは、国民の知る権利を制限し、国家に都合の悪い情報をコントロールする民主主義とは相容れないものです。
この法によって政府がつくり出そうとする状況は、現在の教育における情報統制をより一層進行させるものに他なりません。すなわち、子どもたちが学校 教育の中で使用する教科書について、政府の都合のよい情報を取り入れ、それに反する情報を極力排除しようとする政府の意図は明白です。
また、安倍政権が行った数の力による議会運営は、一人ひとりの意見の違いを尊重し、より納得できる結論を導く民主主義の手法とは相容れないものです。
私たちは安倍政権が目論む、国民の自由を奪い、憲法を変え、アメリカと共に戦争のできる国に変質させようとする策動を許すわけにはいきません。今日を新たな出発点とし、特定秘密保護法の廃止を求め、自由と民主主義を取り戻す新たなたたかいをつくりあげていきます。
私たちは、安倍政権の暴挙に強く抗議するとともに、「教え子を再び戦場に 送らない!」の決意のもと、今後、特定秘密保護法の廃止を求め、とりくみを 継続していく決意をここに表明するものです。

2013年12月7日

埼玉教職員組合 中央執行委員長 金子 彰

埼玉高等学校教職員組合 中央執行委員長 立野隆一

 pdfファイルはこちら → 12.7秘密保護法抗議声明

『哲学のすすめ』

岩崎武雄『哲学のすすめ』(講談社現代新書 1966)を半分ほど読む。
平明な文章で説明する「哲学入門書」という宣伝であるが、頭の中にすーっと文章が入って来ず、途中で諦めてしまった。私の思考力が追いつかなかった。
前半部では物事の原理的な価値判断は哲学が担い、具体的な価値判断は科学が担うということが述べられていた。科学と哲学は言わば建築物であり、哲学という原理を判断する土台部分と、科学という事例の積み上げによってもたらされる見地の上物部分のバランスによってなりたっているものである。哲学が科学を冒してはいけないし、また科学が哲学を冒してもいけない。その両者の見極めが大切だと述べる。
また、得てして若い人は原理的な価値判断や高い目標にのみ捉われ、現実的な事実に基づいた判断を疎かにしがちであり、また高齢の人は現実の状況のみ顧慮しがちで、結局何の理想もなしに現実に順応する態度になりがちであるという指摘は興味深かった。