岩崎武雄『哲学のすすめ』(講談社現代新書 1966)を半分ほど読む。
平明な文章で説明する「哲学入門書」という宣伝であるが、頭の中にすーっと文章が入って来ず、途中で諦めてしまった。私の思考力が追いつかなかった。
前半部では物事の原理的な価値判断は哲学が担い、具体的な価値判断は科学が担うということが述べられていた。科学と哲学は言わば建築物であり、哲学という原理を判断する土台部分と、科学という事例の積み上げによってもたらされる見地の上物部分のバランスによってなりたっているものである。哲学が科学を冒してはいけないし、また科学が哲学を冒してもいけない。その両者の見極めが大切だと述べる。
また、得てして若い人は原理的な価値判断や高い目標にのみ捉われ、現実的な事実に基づいた判断を疎かにしがちであり、また高齢の人は現実の状況のみ顧慮しがちで、結局何の理想もなしに現実に順応する態度になりがちであるという指摘は興味深かった。
『哲学のすすめ』
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