田中長徳『デジカメだからできる ビジネス写真入門』(岩波アクティブ新書 2002)を読む。
今から10年前の本であるが、当時画素数をどんどん増やし、日常の使用では銀塩カメラと大差ないほど性能が上がってきたデジカメの特徴と、その特性を生かしたビジネス現場での撮影術が述べられている。立体的な商品の撮り方や、モノを大きく見せる方法や建物の撮影法など、素人が読んですぐに分かる内容が読みやすい文体で綴られている。
本題とはあまり関係がないが、ふと「あ〜、なるほど」と思う文章があったので引用してみたい。
よくデジカメ雑誌のレポーターが書いている、あまりにも病的なほどのデジカメの色の再現能力、特に色調に関する「純文学的とも言えるほどの記述」を、私は自分が信用しないもののひとつとしています。
確かに、テレビ等の映像機器も、解像度などの数字だけのスペックでは表現しきれない色や音の説明については、比喩の混じった詩的な表現が多様されている。私などはこれはこれで面白いと思いながら読んでいたのだが、「純文学」とバッサリと切られてしまっては身も蓋もないだろう。