黒田清『新聞記者の現場』(講談社現代新書 1985)を読む。
随分昔に買ったもので、古本独特の黴臭い匂いが何とも言えず心地よい。
新聞記者の仕事の紹介に始まり、自身の記者時代の苦労や歓び、新聞記者としての心構えや、報道のあり方にまで筆が走っていく。1950年代、60年代の話が中心であるが、ファクスや携帯電話、インターネットもない時代に、「黒田ジャーナル」と名を馳せた読売新聞大阪本社社会部長を歴任した著者が、現場や関係者宅を丹念に回り、他社に先駆けして記事にまとめていく新聞記者の本道について力説されている。それは、新聞が「社会の公器」として大きな力を持ち得た時代ゆえの話かもしれないが、ネット上の噂が世間を駆け巡る現在だからこそ、インタビューや訪問取材など現場にこだわった報道の基本姿勢として大切にしていきたい。
『新聞記者の現場』
コメントを残す