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『ともだち刑』

雨宮処凜『ともだち刑』(講談社文庫 2008)を読む。
2005年に刊行された単行本の文庫化である。作者の経歴が色濃くあらわれている作品である。話は中学校の部活動を舞台にしたいじめであり、被害を受けている主人公の不安定な気持ちが細かく描かれる。また、いじめを受けて6年経った予備校時代の主人公の話が同時展開で進んでいく。いじめによって精神的にぼろぼろに傷ついていく過去の話と、その過去に復讐を果たそうとする現在の話が交錯していき、読み応えがあった。
斎藤孝氏の解説がまた良かった。斎藤氏も指摘するように、芥川賞に値する小説であったと思う。