読むといっても、あまりの分厚さに閉口し眺めただけである。1887年井上円了が創設した哲学館が前身。1903年に哲学館大学となり、06年に東洋大学と改称し現在に至る。1970年代後半から朝霞キャンパスに教養部を移転したが、90年代になって文京区の白山キャンパス再編が上手く行き、文系学部が4年間白山で学ぶことができるようになってから人気は回復している。むーみんを大学のイ メージキャラクターにしたのも成功の要因か。
現在は、文学に始まり、経済学部、経営学部、法学部、社会学部、国際地域学部、生命科学部、ライフデザイン学部、理工学部、総合情報学部まで、理系から文系まで10学部44学科の陣容を誇る。医学部、薬学部以外の全ての学科がそろっているといっても過言ではない。
東洋大学の全体像は一言では言い表しにくい。しかし、白山キャンパスは、都心の総合大学では珍しく、2万人近い学生が同じキャンパスで4年間学ぶことができる。全国から集まってくる学生が同じキャンパスで学ぶ、その環境から生まれる「エネルギー」は、これまで読んだパンフレットに紹介されていた大学にはものである。
これまで1年半にわたり、200近くの大学・短大・専門学校のパンフレットを読んできた。(ここには記していないが職場でも読んでいるので相当の数に上る)その経験の中で感じたことは、2年間乃至4年間の青春時代を過ごす学生にとって、何を学ぶかという以上に、どこで学ぶか、そして誰と出会うかというのが大きな問題となる。
やはり大学は都会(東京一極集中では困るが)にあり、4年間同じキャンパスで文系から理系まで多くの学生がごった煮状態で過ごすことに意義があると考える。町外れ(地方という意味ではない)にある大学では、どうしても家と学校の往復になってしまう。またホテル並みのキレイな校舎を喧伝する大学も多数あったが、これとて万人に心地よいものではないだろう。
私自身、恥ずかしながら大学の教室では何も学んでいないに等しい。しかし、大学のキャンパス内で、サークル活動で、地下部室で多くの知人と出会い、様々なことを学ばせてもらった。
ふと、十数年前の学生時分に、とある編集者から声を掛けられて大学再編についての学生の目から見た文章を書いたことを思い出した。くそ暑い夏に大学のパンフレット類に首ったけになってワープロでしこしこと文章をまとめたっけ。書いた文章は、「変貌する大学」をご覧下さい。
家に大学のパンフレットや大学受験、学校選びについての資料があと少し残っている。何とか3度目の卒業生を送り出す今冬を使って読み切りたい。