佐高信『スーツの下で牙を研げ!』(集英社文庫 1998)を読んだ。
佐高氏自身「社畜」という言葉を造語しているほど、会社に全人格を託してしまうサラリーマンに対して舌鋒鋭い。会社を相対化し、自分を見失わないことの大切さを主張する。しかし会社を相対化することは難しい。そのためには会社以外の自分をしっかりと見据えることが大事である。佐高氏は続ける。「人は順調で大きくなるのではなく、逆境で育てられるのだ」と。
一口に会社と言うが、大企業、中小企業それぞれに目に見えない会社に縛りつけられるシステムがある。さらに公務員ではよりそれが強固な形となって現れると指摘する。確かに労働条件だけを考えた時、民間のサラリーマンの公務員に対する憧れとやっかみは相変わらずだが、責任の在処が曖昧な役所の中で自己を出そうとすると、すかさず排除が待ち受けているという。佐高氏はニーチェの言葉を引用する。「これが人生だったのか。よし、さらば今一度。」
『スーツの下で牙を研げ!』
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