日別アーカイブ: 2025年9月23日

『ことばの力』

川崎洋『ことばの力:しゃべる・聞く・伝える』(岩波ジュニア新書,1981)をパラパラと読む。
著者自身が「わたしにとっては、いちばんむずかしい項目について述べなければならなくなりました。というのは、私自身ずーっと、自分の感じたことを、散文ではなく詩で表現してきましたから、「自分の考えを伝える」ということは、得意ではないと思っているからです」と本音をもらしているように、川崎氏は韻文専門の人と思い込んでいた。

しかし、新書丸ごと、言葉や用例、詩を参考にしながら、あいさつの言葉や驚きの言葉、悪口、ユーモア、悲喜、恋愛、電話の語り口、方言など、言葉にまつわる説明が分かりやすく書かれている。読みやすく味わい深い評論で、かつ、ところどころに著者自身の体験や感情も挿入されており、一流の評論文となっている。

『国宝』

イオンシネマ春日部で、李相日監督、吉沢亮・横浜流星主演『国宝』(2025,東宝)を観た。
3時間近い上映時間であったが、本来なら8時間分くらいのドラマを3時間に凝縮したような展開となっており飽きることが全くなかった。話の文脈や時間の流れの省略も多いので、文学作品を味わう大人の映画となっている。

この一見地味な映画が150億円近い興収を叩き出しているのは、中高年層が映画館で鑑賞しているからだ。映画が終わった後、改めて観客の方々の年齢層の高さに驚いた。若者がスマホの動画で済まそうという傾向が強い中で、中高年層は一時期のような熱の入ったテレビドラマが少なくなってきたので、映画館に回帰しているのであろうか。昨年の『侍タイ』も同じベクトルにある。