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『医者と患者と病院と』

砂原茂一『医者と患者と病院と』(岩波新書,1983)をパラパラと読む。
手に取ったのが、1996年発行の第28刷であり、ベストセラー作品となっている。まえがきのところで著者自らが「医学専門家への問題提起と一般市民への啓蒙という二股かけた企てが、結局アブハチとらずに終ったのではないかと恐れています」と吐露しているように、主に医学生向けの基礎講座的な内容となっている。これまでの医者の権威に頼ってきたタテ型の医療ではなく、患者を真ん中にして、医者や看護師,薬剤師などの医療関係職種がヨコに連携したチーム医療に変えていくことが求められ、根本的な頭の切り替えが必要だと述べる。

現代では当たり前となったチーム医療であるが、40年前までは未来の医療であったのだ。その他,医療の歴史や諸外国との比較データも掲載され、これぞ岩波新書といった完成度である。