日別アーカイブ: 2024年5月28日

「日中韓 FTA交渉再開へ」

本日の東京新聞朝刊に、岸田総理と中国の李強首相、韓国尹錫悦大統領が首脳会談を開催し、自由貿易協定(FTA)の交渉を再開し、議論を加速することで合意したとの記事が載っていた。

自由貿易協定(FTA)とは、特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃することを目的とする協定のことである。関税や非関税障壁がなくなるので、輸入品が安くなり、輸出量も増えるので、協定締結国同士の経済的結束が大幅に強くなるメリットがある。一方で、日本は米の輸入を制限していたり、韓国は国内市場を守るために日本の自動車の輸入を規制したり、各国とも弱みを抱えており、自由貿易協定が合意に至るまでは道のりは遠い。

しかし、政治的な軋轢はあっても、経済分野で米国抜きに経済連携をとっていくことは、東アジア全域の安定につながる。外務省や経産省には粘り強い交渉を期待したい。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」といった感情論ではなく、喧嘩しながらも裏では手を結び合っている、懐の深い外交が必要である。

『月下上海』

第20回松本清張賞受賞作、山口恵以子『月下上海』(文藝春秋,2013)を読む。
小説だったので、久しぶりにじっくり読んだ。戦前の日露欧米の租界であった上海を舞台にした小説である。前半は日中戦争が始まっても浮世離れした上海の街の模様が中心に描かれる。登場人物と一緒に旅行しているような気分になって面白かった。財閥のもつ政治力や憲兵の暗躍などのシーンも、時代考証に沿っており興味深かった。しかし、後半の人間ドラマの部分になるとイマイチ感は否めなかった。