日別アーカイブ: 2022年12月11日

「タイ密入国 息潜め生活」

本日の東京新聞朝刊に、ミャンマーの避難民がタイ北西部のターク県に密入国し、不法滞在を余儀なくされている現状が報じられていた。ミャンマーとタイは隣国ではあるが、アルプス・ヒマラヤ造山帯の険しい山に隔てられており、文化や言語も大きく異なる。

1957年に公開された映画『戦場にかける橋』(英・米合作)では、タイとミャンマーの国境近くにある日本軍の捕虜収容所が舞台となっている。奥深いジャングルの中のクワイ河に橋をかけようと日本軍の指揮官と英米の捕虜の駆け引きが展開される。映画は全く知らなくても、劇中の主題曲「クワイ河マーチ」は一度は耳にしたことがあるだろう。「サル、ゴリラ、チンパンジー♪」の替え歌で夙に知られている。

閑話休題。こういう時こそ、2015年に発足した、物品、サービス、投資、熟練労働者、資本の移動などを自由化することで域内の経済発展を目指すASEAN経済共同体(AEC)の出番である。ミャンマーの軍事政府との連携を密にすることは難しいであろうが、タイだけでなく、ASEAN諸国全体の課題として、難民の処遇に向き合ってほしい。

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『十六歳のギリシア巡礼記』

二田原阿里沙『十六歳のギリシア巡礼記』(筑摩書房 1987)をパラパラと読む。
タイトル通り、執筆時玉川学園高等部に在籍していた高校生の著書である。彫刻家の父と一緒にギリシアの遺跡や彫像を巡る10日余りの旅日記である。
亀井勝一郎の『大和古寺風物誌』を思わせるような、老成した文章で、ギリシア遺跡から触発された様々な思いが綴られている。もしこれが本当に女子高校生が一人で書いたならば、平野啓一郎もびっくりの逸材である。残念なことに、この本以降はイタリア語会話の本を最後に筆を置いている。

内容はあまり入ってこなかったが、ギリシア遺跡が石灰岩で白く輝いていることだけは白黒の写真からもよく分かった。