日別アーカイブ: 2022年12月2日

『サッカー大好き!』

泉優二『サッカー大好き!』(岩波ジュニア新書 1994)を読む。
著者はサッカーの専門家ではなく、文筆家である。少年サッカーチームの監督を務め、長年にわたる海外サッカーの取材の経験を交えて、サッカーの魅力や日本人のあるべきサッカーとの関わり方について述べている。ちょうどJリーグが発足したばかりだったので、余計に日本にサッカーが根付き、海外チームに伍して強くなってほしいと、肩に力の入った文章となっている。

著者はサッカーが世界の団体スポーツの王者になった背景について次のように述べている。

では、なぜそれだけ受け入れやすいスポーツだったのでしょう。
道具が最低限ボールだけでよい、という経済的な理由も普及に役立ったことはたしかですが、もうひとつ、普及に役立ったのは、個人個人の特徴を生かせる、性格や運動能力のちがいをむしろ歓迎するスポーツだということです。ですから性格的な向き不向きがなく、自分のポジションがどこかにある。
同じように、これからが重要なのですが、国民性や、民族性という大きな枠でも、その特徴を生かせるスポーツだということです。
イングランドはイングランドの、ブラジルはブラジルの、そして他の国でも、ある国のサッカーは、他の国のサッカーと全くちがって見えるほどの特徴を、当初は持っていました。それだけ自由にのびのびと自分たちを表現できたということ、そのことが世界への普及をよりたしかなものにしたといえると思います。

著者の意見に沿ってみると、総合格闘技(MMA)の人気の理由も、サッカーの普及に近いものがある。総合格闘技も必要なものはグローブくらいである。また、個人個人の特徴を生かせるスポーツで、国民性や民族性といった特徴も大きな要因として加味される。サッカーというよりも、これからのスポーツのあり方を示すものだと言えるかもしれない。

『英語力を身につける』

高橋祥友『英語力を身につける』(講談社現代新書 2001)をパラパラと読む。
英語学習の新書というと、「これだけ覚えれば…」「英語脳を…」「楽して話せる…」「習うよりも慣れろ」など、中学高校の長時間にわたる学習を否定するような内容が多い。しかし、この本の著者は精神科医で英語の専門家ではない。そのため、日本国内で集中的に努力し、繰り返し学習することの大切さを解く。英語学習の本だが、英文の実際の解釈はなく、ラジオ講座や英会話教室の使い方、さまざまなリスニング教材の紹介、速読のテクニック、英文ライティングなど、筆者自らが実践しているノウハウが惜しみなく披露されている。

ある英会話学校が行った調査があります。日本の4年制大学を卒業した人が英語で仕事をするために必要最小限のコミュニケーション能力を身につけるためには約2000時間かかるという結果でした。私の経験を振り返っても、これは妥当な時間数だと思います。さて、これは毎日2時間英語を勉強したとすると、約3年かかります。しかし、たとえば、同じ合計2000時間であっても、毎日6時間かけて約1年でその時間数を達成するほうが明らかに効果が上がると思います。それくらい徹底的に学習に集中すべきなのです。