日別アーカイブ: 2022年11月22日

「ジャワ島地震 断層横ずれか」

本日の東京新聞夕刊に、インドネシアのジャワ島西ジャワ州で起きた地震の続報が掲載されていた。地震の規模を示すマグニチュードは5.6だが、建物の崩壊や道路の寸断など大規模な災害となっている。

地震は大きく、海溝型地震・直下型地震(内陸型地震)の2つのタイプに分けられる。海溝型地震は主にプレート同士が狭まる境界で発生する。大陸プレートと海洋プレートの衝突具合にによっていくつかのタイプがあるが、地震の規模を示すマグニチュードが8を超える巨大地震となることも多い。東日本大震災ではマグニチュード9.0の地震が発生している。また海溝型地震の大半は海の中で起きるため津波が発生することもある。

一方、直下型地震は大陸プレートのひずみによって蓄えられたエネルギーが陸地の下まで伝わり、プレートの弱い部分「活断層」が破壊されることによって起きる地震のことである。海溝型地震と比べると、直下型地震はマグニチュードが小さくなるため、被害範囲も20~30km程度の地域に限られる。しかし、人の住んでいる下など、近い場所が震源となることが多いため、エネルギーが衰えずに地表まで伝わる。津波こそ心配ないが、特に浅いところが震源となった場合には、建物や家具の倒壊によって深刻な被害を起こす。また、直下型は地震の前触れがなく、突然大きな揺れとなり、10秒ほどの短時間に、縦に突き上げるような、猛烈なゆれが起こることが特徴である。

記事によると、今回の地震は活断層が水平方向に横ずれして発生したとのこと。電気やガス、水道などのインフラが破壊された可能性が高い。震源域となったチアンジュール県は首都のジャカルタと州都のバンドンの中間地域にあり、比較的支援体制は整いやすいであろうか。

インドネシアは人口2億8000万人の6割が、国土の7%しかないジャワ島に集中している、極めて歪な都市となっている。今回震源となった西ジャワ州は首都のジャカルタに隣接しており、5000万人の人口を数える。日本と同様に地震の多い国であるため、インドネシア政府の復旧・復興対策に期待したい。

『すずめの戸締り』

久しぶりに春日部ララガーデンで、新海誠原作・脚本・監督『すずめの戸締り』(東宝 2022)を観た。
仕事帰りだったので、ゆったりとした気分で鑑賞することができた。震災で親を失った主人公の鈴芽が、地震を神の力で押さえつけていく「戸締り」を通して、力強く生きていくという分かりやすいテーマだった。3.11の震災から12年という現実時間がアニメの世界にも反映されており、ちょうど高校2年生の女子高生の親という立場で観ると、感慨深いものがあった。

『日本語は年速一キロで動く』

井上史雄『日本語は秒速一キロで動く』(講談社現代新書 2003)をパラパラと読む。
著者は東京外国語大学で長く言語学を研究していた学者である。本書では「ジャカマシイ」や「センカッタ」「ケンケン」「〜シナイ」などの方言がどのように他地域に伝播していくか、詳細なデータをもとに分析した労作である。言語地理学の分野の研究になるのであろう。

そうした中で、マスメディアの影響も含めて方言は均すと年速1キロくらいで拡大していくことを明らかにしている。さらにはインド=ヨーロッパ語族のヨーロッパへの拡大についても、小麦栽培と結びつけて年に1キロという似た速度で西進していったことも紹介されている。またモンゴロイドがアジアからベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸北端に渡り、南アメリカ大陸南端へ達した過程も、5万キロに5万年かかったとすると、ほぼ同様の速さとも言えると述べている。

言語・文化の伝播とそれを担う人間自体の移動は別問題のはずだが、1世代あたり30キロ、つまり年速1キロほどに落ち着くのだろうと結論付けている。