西原理恵子・佐藤優『とりあたまニュース:」最強コンビ結成!編』(新潮社 2011)のコラムのみを読む。
昨日読んだ本の前のシリーズである。2009年半ばから2010年半ばに掛けてのニュースに一言申すという流れのコラムである。その中でオバマ元大統領に関する話が興味深かった。引用してみたい。
オバマ大統領は、白人と黒人、富裕者と貧困者、ゲイとストレート、民主党支持者と共和党支持者のすべてを代表する米国国家の代表であると強調する。また、米国のことを真剣に考え、行動する者がわれわれの同胞であるとオバマ氏は繰り返し述べている。
国内における差異を、国民を動員することによって解消するという動きは、20世紀初頭のイタリアにもあった。ベニト・ムッソリーニ総帥が展開したファッショ運動とオバマ大統領が展開している動員型政治は親和的だ。ヒトラーのナチズムはアーリア人種が優秀だという荒唐無稽な人種神話に基づいていた。これに対してムッソリーニのファシズムは、共産主義革命を阻止するとともに、資本主義が生み出す失業、貧困を解消しようとする運動だった。
オバマ・ブームとともに米国に新たなファシズムが台頭することを筆者は危惧する。