日別アーカイブ: 2021年11月10日

「RCEP アジア貿易効果期待」

本日の東京新聞朝刊に、東南アジア連合に日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国を加えた15ヵ国で発足する地域的な包括的経済連携協定(Regional Comprehensive Economic Partnership:RCEP)について、メリットや今後の課題を含めて分かりやすく説明されていた。来年の授業からは大きく取り上げることになるであろう。

記事の最後の方にもある通り、日本が米中両にらみの立ち位置をとるべきだとの指摘は正しいと思う。台湾だけでなく南シナ海の南沙諸島やミャンマーの軍事政権支援など近年の中国の拡大を牽制しつつ、米国のおせっかいな介入を防いでいく積極的中立姿勢が必要な場面である。

また、物や金だけでなく、貿易や投資ルールの自由化・円滑化、労働力の移動の促進など、多方面の分野での連携を押し進める経済連携協定なので、閉鎖的な日本の法制度や商慣習が代わっていくチャンスでもある。

  • EPA:貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素等を含む、幅広い経済関係の強化を目的とする協定

 

「難民押し寄せ EU緊迫」

本日の東京新聞朝刊に、旧ソ連のベラルーシ国境に中東から約3000人の難民が押し寄せ、EU加盟国のポーランドに侵入しようと国境付近でのせめぎ合いが生じているとの記事が掲載されていた。
先月の授業でもとり上げたが、トルコとギリシアの国境付近での衝突とよく似た話である。EU加盟国は「シェンゲン圏(The Schengen Area)」という領域を形成し、EU域内では、EU市民であるかEU域外国の人であるかにかかわらず、旅券(パスポート)検査などの出入国審査(域内国境管理)が廃止される協定が結ばれている。もちろん自由にEUに入ることはできないが、一度入ってしまえば、さまざま制限はあるが工場や農場で働き、生活することができる。ましてやポーランドはドイツに近いため、ギリシア以上に難民にとっては好都合である。

それにしても奇妙な話である。なぜ、急にイラク難民が言語も宗教も気候も異なるベラルーシにやってきたのであろうか。記事にもある通り、独裁体制を敷いて長期に政権の座に居座るルカシェンコ大統領の影がちらつく。ルカシェンコ大統領とロシアのプーチン大統領が密約してEUを困らせるような対応をしているのであれば、難民を政治利用した許せない行為である。