ペレリマン『物理のはなし』(東京図書 1987)をパラパラと読む。
著者のペレリマンは1882年にポーランドで生まれ、ロシア・ペテルブルクの大学を卒業した物理学者である。この本は1911年に初版が出版されたもので、身近な題材で物理の全分野(力学、運動、エネルギー、磁気と電気、波動)が丁寧に説明されている。
パラパラと読んだだけだが、平行に航行している2隻の船に引き合う力が働き、片方の船の船首がもう一方の船腹に食い込むように衝突した事故を物理学的に分析した項が面白かった。「水あるいは空気の流れのなかでは、速度が小さければ、圧力は高く、速度が大きければ圧力は小さい」というベルヌーイの法則を当てはめると、両船の間の水の圧力が小さくなり、両船は外側の水の圧力で接近することになる。
このベルヌーイの定理を応用すると、駅のホームにいる客がすぐそばを走る特急列車に引き込まれる事故や、飛行機の翼の周囲に発生する空気の流れなど、さまざまな風や水の中の物体の動きを分析することができる。すごい!