日別アーカイブ: 2021年11月22日

『物理のはなし』

ペレリマン『物理のはなし』(東京図書 1987)をパラパラと読む。
著者のペレリマンは1882年にポーランドで生まれ、ロシア・ペテルブルクの大学を卒業した物理学者である。この本は1911年に初版が出版されたもので、身近な題材で物理の全分野(力学、運動、エネルギー、磁気と電気、波動)が丁寧に説明されている。

パラパラと読んだだけだが、平行に航行している2隻の船に引き合う力が働き、片方の船の船首がもう一方の船腹に食い込むように衝突した事故を物理学的に分析した項が面白かった。「水あるいは空気の流れのなかでは、速度が小さければ、圧力は高く、速度が大きければ圧力は小さい」というベルヌーイの法則を当てはめると、両船の間の水の圧力が小さくなり、両船は外側の水の圧力で接近することになる。

このベルヌーイの定理を応用すると、駅のホームにいる客がすぐそばを走る特急列車に引き込まれる事故や、飛行機の翼の周囲に発生する空気の流れなど、さまざまな風や水の中の物体の動きを分析することができる。すごい!

「コオロギ食でタンパク質」

本日の東京新聞朝刊に、JAグループが主催するオンラインシンポジウム「SDGs『国消国産の日』を契機に、持続可能な食料生産、暮らしやすい地域社会について考え、行動する」の特集記事が掲載されていた。その中で昆虫食のベンチャー企業を立ち上げた東京農業大学の学生のコメントが目を引いた。

環境負荷の小さい昆虫食は、食品ロスという観点だけでなく、牛肉・豚肉の生産に必要な飼料穀物の生産増に伴う地球温暖化の解決の一助ともなっている。授業の中で結構取り上げるテーマだが、生徒の関心は低く、まだゲテモノ扱いに留まっている。

タンパク質は炭水化物・脂質とあわせて三大栄養素と呼ばれている。人間の筋肉や臓器、体内の調整に役立っているホルモンの材料となるだけでなくエネルギー源にもなっている必要な栄養素である。主にアミノ酸によって構成されており、動物性タンパク質と植物性タンパク質に大別される。肉や魚、卵や乳製品に含まれる動物性タンパク質は、植物性に比べ必須アミノ酸の含有量が高く、寿命にも効果が高いとの研究もある。

昆虫食はこの動物性タンパク質を豊富に含んでいる。弘前大学農学生命科学部環境昆虫学研究室管原亮平先生によれば、バッタは草しか食べないが、コオロギは人工飼料も食べるので、増やしやすいというメリットがあるとのこと。まさに昆虫のフィードロットではないか!

「ミャンマー軍トップの出席容認を 中国打診 ASEAN拒否」

本日の東京新聞朝刊に、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で、中国がミャンマーの軍事政権総司令官の出席をアセアン各国に打診したとの記事が掲載されていた。記事では触れられていないが、中国は「一帯一路」の実現に向けて、ミャンマーの軍事政権を支援している。

昨日のNHKの番組でも放映されていたのだが、中国はマラッカ海峡を通らなくても南シナ海からインド洋に抜けられるように、マレーシア半島のミャンマーとタイの国境近くを縦断する運河の建設を計画している。そうした中国の世界戦略に東南アジアの理解が必須となる。ASEAN首脳が拒否しようと、中国の投資は拡大する一方である。

『せかいどこでもずんがずんが旅』

椎名誠『せかいどこでもずんがずんが旅』(角川書店 2010)を読む。
久しぶりに一冊本を最初から最後まで読んだ気がする。東京新聞の夕刊に掲載されていたエッセーで、著者が旅したシベリアの奥地やニューギニアに浮かぶ島など、観光客がほとんど訪れない辺境の様子が紹介されている。