本日の東京新聞朝刊に、旧ソ連のベラルーシ国境に中東から約3000人の難民が押し寄せ、EU加盟国のポーランドに侵入しようと国境付近でのせめぎ合いが生じているとの記事が掲載されていた。
先月の授業でもとり上げたが、トルコとギリシアの国境付近での衝突とよく似た話である。EU加盟国は「シェンゲン圏(The Schengen Area)」という領域を形成し、EU域内では、EU市民であるかEU域外国の人であるかにかかわらず、旅券(パスポート)検査などの出入国審査(域内国境管理)が廃止される協定が結ばれている。もちろん自由にEUに入ることはできないが、一度入ってしまえば、さまざま制限はあるが工場や農場で働き、生活することができる。ましてやポーランドはドイツに近いため、ギリシア以上に難民にとっては好都合である。
それにしても奇妙な話である。なぜ、急にイラク難民が言語も宗教も気候も異なるベラルーシにやってきたのであろうか。記事にもある通り、独裁体制を敷いて長期に政権の座に居座るルカシェンコ大統領の影がちらつく。ルカシェンコ大統領とロシアのプーチン大統領が密約してEUを困らせるような対応をしているのであれば、難民を政治利用した許せない行為である。