日別アーカイブ: 2021年11月6日

「地熱発電10年で4倍」

本日の東京新聞夕刊に、日本の地熱発電所が東日本大震災以降4倍に増えたとの記事が掲載されていた。
授業の復習になるが、地熱発電は字の通り、地中の高温の熱気でタービンを回して発電する仕組みである。そして、地中に熱が発生するためには膨大な圧力が必要である。そのため地熱発電は、プレートが動く境目にあたる新期造山帯でしか稼働することができない。地熱発電の割合が多い国を挙げてみると、アイスランド(27%)、フィリピン(15%)、ニュージーランド(14%)となっている。アイスランドはギャオと呼ばれる海嶺が地表に顔を出した島であり、豊富な地熱エネルギーを有した国である。また、アルプス=ヒマラヤ造山帯にあるトルコも近年地熱発電の開発が著しい。

日本も4枚のプレートがぶつかる火山・地震大国であり、地熱発電にうってつけの場所に位置する。中学校の日本地理にも登場する、日本最大の地熱発電所である大分の八丁原発電所は、約37000戸の家庭の電力量に相当する11万kWの電力を生み出している。小規模発電所が多いとのことだが、建設コストも高いので、地道にコツコツと増設を目指したい。

ではいったい、なぜこれほど鼻息高く語るのかと言えば、実は10年ほど前に、秋田大学理工学部の通信教育で地質エネルギーに関する講座を受講したからだ。秋田大学には国産資源学部があり、石油や天然ガス、レアメタルなどの地質工学の分野では、旧帝大に見劣りしないほどの研究が行われている。
私も関心は高かったのだが、テキストがあまりに訳分からず、大きい声では言えないが、受講はしたもののレポート提出には至らず、満期除籍となってしまった。地球科学を勉強するには、最低限高校レベルの微積分の知識が必要だと反省した次第である。

来年度数Ⅲを選択する生徒は是非、地質科学の分野も将来の選択肢に入れてほしい。

『不思議の宝庫「世界遺産」』

小林克己『不思議の宝庫「世界遺産」』(成美文庫 2003)を手に取ってみた。
監修には全世界遺産の3分の1に足跡を記したという人物がの名前が明記されているが、70もの世界遺産が羅列されて、ただただ参考文献の焼き直し単調な文体が続くだけのものである。辞書的に使ったり、興味あるいくつかの項目を読むだけだったた良いが、全体を通読するのは頂けない。監修者の名前で惹きつける商法はやめてほしい。

運動会

真ん中の子と下の子の運動会に出掛けた。
小学校の運動会もかれこれ10年目である。昨年、今年とコロナで短縮となっている。
あと小学校の運動会も残すところ2年である。

『社会福祉士・精神保健福祉士になるには』

田中英樹・菱沼幹男『社会福祉士・精神保健福祉士になるには』(ペリカン社 2011)をパラパラと読む。
1999年に刊行された旧版から内容を一新し、2009年以降の新しい試験制度や地域包括支援センターも紹介されている。旧版は、私もスクーリングで受講したことのある日本社会事業大学の大橋謙策氏が担当されていた。この新版では、大橋先生の教え子たちが高校生向けに分かりやすく福祉の仕事について説明している。

「脱石炭 46カ国・地域合意 日米中印は不参加」

本日の東京新聞朝刊より。
国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議で、石炭火力発電の段階的廃止や新規に建設しないことで、先進国では2030年代に、世界全体では2040年代に廃止することで合意したということだ。COP26には100カ国以上の国・地域が参加しており、全体でどれくらいの賛同を集めたのかは不明だが、「石炭火力発電が地球の気温上昇の最大要因」だとのメッセージはしっかりと受け止めたい。

石炭は主に古生代の植物が地中深くに埋没し、地熱や地圧を受けて生成した有機物である。古期造山帯で多く産出されるが、それ以外の地域からも産出し、開発途上国の電力エネルギーを支えている。しかし、石炭は植物由来のため、燃焼すると二酸化炭素だけでなく、大気汚染の原因となる窒素酸化物や硫黄酸化物が必ず排出される。

日本では現在も火力発電所の建設が進んでおり、昨年2020年の6月にも広島県竹原市で世界最高水準の高効率な火力発電所が運転を開始している。日本がなぜ石炭にこだわるかというと、石炭はオーストラリアから安価で安定して輸入できるのに対し、原子力発電は国内世論の批判に晒され、また天然ガスは輸入ルートが不透明であるためだ。

太陽光や地熱、水力、バイオマスなどの再生可能エネルギーの技術開発、それらの普及に向けた国家戦略に異論はない。欧州の先進国は、安定陸塊で地震が全くないので、原発への依存度も高く、天然ガスの供給ルートが安定しているため、容易に脱原発を宣言できる。しかし、アフリカや中米の国はまだまだ石炭に頼らざるを得ないのが現状である。

地球温暖化に逆行するという意見もあるが、私は、今回の脱石炭の合意に加わることができない開発途上国向けに、日本の高効率な石炭火力発電の技術を活用し、非効率な石炭火力発電所をリプレイスするべきだと考える。地球温暖化対策は先進国を中心に議論されているが、貧困に喘ぐアフリカや中米諸国では安定したエネルギーが不可欠である。21世紀半ばを目処に、開発途上国の経済発展を支えるという目的に限って、石炭火力発電の研究を進めていくことが必要である。