近藤二郎『ものの始まり50話:文明の源をさぐる』(岩波ジュニア新書 1992)をパラパラと読む。
著者は執筆当時、早稲田大学古代エジプト調査室に勤務しており、現在も早稲田で教鞭を取っている研究者である。その著者がパンやチーズに始まり、貨幣や暦、マンガ、トランペットなど、50の物や仕組みを取り上げ、そのルーツの多くが古代エジプトにあるとする講釈が滔滔と続く。日本や中国で発展したと思われる文物が、実は古代エジプト文明やメソポタミア文明、インダス文明に既に見受けられるのだという一辺倒な切り口なので、最初の3つくらい読んで飽きてしまった。ページを繰りながら、「我田引水」ということわざが忘却の淵から浮かび上がってきた。
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『わたしの少女時代』
池田理代子・宮城まり子・石垣綾子ほか『私の少女時代』(岩波ジュニア新書 1979)をパラパラと読む。
代表著者3名の他、今井通子さん、黒沼ユリ子さん、増井光子さん、中川李枝子さん、林京子さん、土井たか子さん、石井ふく子さん、籾山政子さん、丸木俊さん、沢村貞子さんの計13名の女性が、戦前戦後の不遇な女性という境遇やガラス天井を打ち破って、夢や目標を実現してきた過去半生を語る。
特に疾病と気候や地理の関係を研究した籾山政子さんの文章が印象に残った。「女性のくせに生意気な」という旧態な風潮が残る学会の中で、さらに「地理好き」というマイナーな路線を突っ走ってきたきっかけが、立正大学の地理学講習会であったそうだ。かつて高等師範部を設けていた立正大学の歴史を感じた。
「レバノン爆発1年 地元知事が窮状訴え」
本日の東京新聞朝刊に、昨夏の爆発事故後、国内政治の混乱により復興が進まない状況が報じられていた。
レバノンといってもあまりピンとこない人が多いであろう。2年前に日産のCEOを務めていたカルロス・ゴーン氏が映画のような逃亡劇を果たした国として報じられたのを記憶しているだろうか。世界史では、紀元前15世紀頃に地中海を制したフェニキア人の都市国家が作られたことで知られる。当時航海に出る際の木造船の材料として用いられた杉の木が、現在のレバノンの国旗に用いられている。
記事にある通り、レバノンは現在無政府状態が続いており、電気や水道、ガスなどのライフラインの整備すら滞っている。シリア内戦やパレスチナ紛争に直接利害関係の少ない日本が貢献する分野は大きいと思う。中国マネーがレバノン経済を席捲する前に、日本が技術支援をできないだろうか。