別冊宝島編集部編『私たちの好きな源氏物語』(宝島社文庫 2008)をぱらぱらと読む。
2003年に「別冊宝島」として刊行されたものの文庫化である。写真入りで京都御所や野宮神社などの源氏物語ゆかりの地(聖地)が紹介され、他に、主要登場人物のプロフィールや当時の暮らしぶり、口語訳や英訳の違い、各巻の恋模様、成立の裏話などが語られる。
教材研究の一環として手に取ってみたのだが、ここ数日、毎日毎日毎時間毎時間、若紫の冒頭のシーンばかり扱っていたので、さすがに家に帰ってまで読もうという気にはさらさらなれなかった。「昔の恋愛も今の恋愛も、〜〜よねぇ」といった語り口は、中年のおじさんには辛いものがある。
その中で、瀬戸内訳と谷崎訳、与謝野訳、円地訳のそれぞれの違いを、大胆に比較してしまう章だけは目を引いた。思想だろうが哲学だろうが宗教だろうが、あらゆるジャンルをスパッと分類・系統立ててしまう別冊宝島編集部ならではの切り口である。