惣領冬実『チェーザレ—破壊の創造者』(講談社 2006~2008)の第1巻から第5巻まで読む。
マキャベリの『君主論』の中で理想の君主とされているチェーザレ・ボルジア(1475-1507)の生涯を、史実を踏まえつつ大胆に描く。大昔の世界史の勉強の中で聞いたことがある名前ではあったが、ただ文化史の用語として暗記しただけだったためか、あまり印象に残っていない。チェーザレは司教なのだが、分裂しているイタリア諸国家を束ねる政治家・策略家でもある。現在でも連載が続いている作品であり、第5巻まではチェーザレの学生時代の話であり、その策略家としての片鱗が描かれる。
ピサ大学での学生生活の細かい様子や、現存されていない当時の建設様式や壁画なども、大学の研究者のアドバイスを基に丁寧に描かれており、歴史の参考書として読むこともできる。
『チェーザレ』
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